東京・渋谷のギャラリー「biscuit gallery」が、若手キュレーターを起用した展覧会をサポートする企画「biscuit gallery Curator Projects」を開始。第1弾として松江李穂のキュレーションによる、菊谷達史と前田春日美の二人展「影をしたためる notes of shadows」を開催する。会期は9月8日〜25日。
これまで、若手作家を起用した企画展を行ってきた「biscuit gallery」。新たにスタートさせる企画「biscuit gallery Curator Projects」では、若手キュレーターを起用し、自由で実験的な展覧会の実現をサポートし、企画展の開催協力を推進するとしている。
第1回目のキュレーターを務めるのは、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻の修士課程に在籍する松江李穂で、金沢美術工芸大学大学院出身の菊谷達史と、武蔵野美術大学大学院出身の前田春日美による二人展を企画する。
松江は1994年青森県生まれ。2019年に金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科芸術学専攻を卒業し、2020年より東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻修士課程に在籍。2021年からは埼玉県立近代美術館臨時的任用学芸員を務めている。
菊谷は1989年北海道・稚内市生まれ。2011年に金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科油画専攻卒業、2013年に金沢美術工芸大学大学院修士課程美術工芸研究科絵画専攻油画コースを修了した。松江によれば、菊谷は「絵画史の影に自身の制作を位置づけると共に、記録や実体のないイメージという、現実世界の「影」としての絵画表現を飄然と引き受けている」作家だという。
いっぽうの前田は1991年東京都出身で、2017年に武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業、2019年に武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻彫刻コース修了。前田について松江は「身体に対する不全感や不満を、鏡やプロジェクターを用いてたびたび表現してきた。自身の身体を平面上に投影し、その輪郭や存在の痕跡を再び実体のある立体作品へと変換する彼女の制作方法は、身体のギャップを受け入れ、不全感と共存する方法を模索しようとする試みの一つといえる」と評する。
松江は本展の狙いについて次のようにコメントしている。「実体を持つ全てのものに寄り添い、異なる次元に姿を現す影の性質を拾い上げ、作家それぞれの制作に対するスタンスや表現方法に重ね合わせてみたい」。