2020年10月より施設整備のために休館していた東京・上野の国立西洋美術館が、4月9日にリニューアルオープンする。
今回のオープンに併せて、同館では前庭の目地や西門の位置、囲障などを1959年に創建した当時の姿に近づける工事を実施。ル・コルビュジエ(1887〜1965)の設計をより反映したかたちとなる。
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開館後は常設展(~9月19日)とともに、小企画展「調和にむかって:ル・コルビュジエ芸術の第二次マシン・エイジ ― 大成建設コレクションより」を開催。ル・コルビュジエ(1887〜1965)の晩年の絵画と素描を紹介する。
そして、今回のリニューアルオープンを記念して6月24日から開催される企画展が、自然と人の対話から生まれた近代の芸術の展開をたどる展覧会「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」だ。
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国立西洋美術館のコレクションの礎となったのが、松方幸次郎(1866〜1950)の個人コレクションだ。その松方と同時代を生きたドイツの実業家、カール・エルンスト・オストハウス(1874〜1921)のコレクションは、ドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館のもととなっている。
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「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」ではフォルクヴァング美術館の協力のもと、開館から現在にいたるまでの両館のコレクションから、印象派とポスト印象派を軸にドイツ・ロマン主義から20世紀絵画までの100点を超える絵画や素描、版画、写真を展示。近代における自然に対する感性と芸術表現の展開を展観する。
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出展作家は、ゴッホをはじめ、マネ、モネ、セザンヌ、ゴーガン、シニャック、ノルデ、ホドラー、エルンストなどの巨匠たちだ。また、ゴッホに関しては、精神を病み療養中であった時代のゴッホの代表的な風景画のひとつ《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》が初来日。本作はフォルクヴァング美術館開館を飾った記念碑的作品だという。
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また、ドイツ・ロマン派の巨匠フリードリヒや、国立西洋美術館の新規収蔵品である北欧の作家ガッレン=カッレラの作品も日本初公開。ときに人間自身までもを内包する「自然」の無限の広がりを、両館のコレクションからたどる展覧会を目指す。
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© Gerhard Richter 2022 (13012022) © Museum Folkwang, Essen
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