AdvertisementAdvertisement
2021.12.7

李禹煥の大規模回顧展が国立新美術館で開催。過去の代表作とともに新作も展示

国際的に高い評価を得ている現代美術家・李禹煥(リ・ウファン)。その回顧展「国立新美術館開館15周年記念  李禹煥」が国立新美術館で開催。東京の美術館では初の大規模個展となる。

李禹煥 フランス、アングレームでの《Relatum - The Shadow of the Stars》設置作業 2021 Photo (c)Lee Ufan
前へ
次へ

 東京・六本木の国立新美術館で、現代美術家・李禹煥(リ・ウファン、1936〜)の大規模回顧展「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」が開催される。会期は2022年8月10日〜11月7日。

 李は韓国の慶尚南道に生まれ、ソウル大学入学後の1956年に来日し日本大学で哲学を学び、東洋と西洋のさまざまな思想や文学を吸収した。1960年代から現代美術に関心を深め、60年代後半に入って本格的に制作を開始。視覚の不確かさを乗り越えるために、自然や人工の素材を節制の姿勢で組み合わせ提示する「もの派」と呼ばれる動向を牽引した。

 また、すべては相互関係のもとにあるという世界観を、 視覚芸術だけでなく著述においても展開。1969年には「事物から存在へ」で美術出版社芸術評論賞に入賞しており、「もの派」の理論的支柱にもなった。

李禹煥 フランス、アングレームでの《Relatum - The Shadow of the Stars》設置作業 2021 Photo (c)Lee Ufa

 近年は国際的にも評価が高まっており、グッゲンハイム美術館(ニューヨーク、アメリカ合衆国、2011)やポンピドゥー・センター・メッス(メッス、フランス、2019)など、世界の名だたる美術館で個展を開催。国内でも2010年に香川県直島町に李禹煥美術館が開館しているが、美術館での大規模個展は2005年の横浜美術館で開催された「李禹煥 余白の芸術」が最後となっており、今回は東京で初めての大規模回顧展となる。

 同展では「もの派」にいたる前の視覚の問題を問う初期作品から、彫刻の概念を変えた「関係項」シリーズ、精神性の高い絵画など、李の代表作が一堂に会する。加えて、李の新たな境地を示す新作も出品される予定となっている。

 なお、同展は2022年12月より兵庫県立美術館に巡回する。