現代美術作家・杉本博司が構想から20年の歳月をかけ2017年に開館した「小田原文化財団 江之浦測候所」。その現代アートプロジェクト第2弾として、クリスチャン・マークレーを招聘したサウンド・パフォーマンス《Found in Odawara》が開催される。
江之浦測候所は19年に現代アートプロジェクトをスタートさせ、第1弾としてティノ・セーガルを招聘した。これに続くのが、今回のクリスチャン・マークレーだ。
クリスチャン・マークレーは1955年生まれ。79年にレコードとターンテーブルを用いたパフォーマン スを開始し、ターンテーブル奏者の先駆者とし て注目を浴びた。80年代からはレコード盤や、電話、楽器、磁気テープなど、音に関連する事物を素材とした造形作品や映像作品の制作を行っており、近年では、身近なものが生み出す音を用いたプロジェクトをヴェネチアやハダースフィールドで開催している。
今回の《Found in Odawara》では、江之浦測候所を舞台に、大友良英、巻上公一、鈴木昭男、山川冬樹、山崎阿弥の5人の音楽家、パフォーマーとコラボレーション。2日限りの即興音楽をつくり出す。開催日時は2021年11月27日13:30~16:30と、11月28日13:30~16:30の2回。チケットは小田原文化財団公式ウェブサイトで10月29日10時より発売される。
2012年以降、私はレコードとターンテーブルからしばし離れ、身の回りのものが生み出すアコースティックな音に焦点を当てるようになった。これは、楽音が増幅され媒介となることの多い、私たちを取り巻く環境に対するリアクションである。私は何も持たずに日本へ行き、小田原で見つけたありふれたものを用いて、日本の音楽家やパフォーマーとともに音楽を作り、披露する。5名のうち大友良英や巻上公一とはこれまでも長年にわたり共演してきており、鈴木昭男、山崎阿弥、山川冬樹とは今回が初めてのコラボレーションとなる。杉 本博司が構想した素晴らしい江之浦測候所という場所にふさわしい自由形式のパフォーマンスを彼らととも に創り上げることになる。(クリスチャン・マークレーのステートメント)
なおクリスチャン・マークレーは今年、日本国内初となる大規模な展覧会「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」を、東京都現代美術館で開催(会期は11月20日〜2022年2月23日)。展覧会とあわせて、今回のパフォーマンスもチェックしておきたい。