「ボイス+パレルモ」展からデヴィッド・ボウイと京都の写真展まで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週末にスタートする展覧会のなかから、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。なお緊急事態宣言のため、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「ボイス+パレルモ」の展示風景より

日本初展示の代表作も。「ボイス+パレルモ」(豊田市美術館)

 第2次世界大戦以降のもっとも重要な芸術家のひとりであるヨーゼフ・ボイス(1921~86)と、その教え子ブリンキー・パレルモ(1943~77)。このふたりの作品を紹介する展覧会「ボイス+パレルモ」が豊田市美術館でスタートする。

「ボイス+パレルモ」の展示風景より

 日本では約10年ぶりとなるボイス展、そして公立美術館としては初のパレルモ展となる本展では、一見対照的なボイスとパレルモの1960~70年代の作品を中心に、社会と芸術の関わり、芸術の営為とは何かを問いかける。

 初期のドローイングや、脂肪・フェルトを用いた作品、日本では初展示となる代表作《ユーラシアの杖》(1968/69)、国立国際美術館が新収蔵する《小さな発電所》(1984)など約80点におよぶボイス作品に加え、パレルモの「布絵画」や、金属パネルに色彩を配する晩年の「金属絵画」シリーズなどを紹介する。

会期:2021年4月3日〜6月20日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
電話番号:0565-34-6610
開館時間:10:00〜17:30 ※入場は閉館の30分前 
休館日:月(ただし5月3日は開館)
料金:一般 1200円 / 高校・大学生 700円 / 中学生以下無料

「京都学派」をテーマに。「ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声」(山口情報芸術センター[YCAM])

 シンガポールを代表するアーティストのひとり、ホー・ツーニェンによる新作インスタレーションを発表する展覧会「ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声」が、山口情報芸術センター[YCAM]で行われる。

メインビジュアル

 本展では、哲学者の西田幾多郎や田辺元を中心に形成され、1930~40年代の日本の思想界で大きな影響力を持った「京都学派」に注目。YCAMとのコラボレーションにより、VRとアニメーションで構成される新作《ヴォイス・オブ・ヴォイド ― 虚無の声》を発表する。

 同作では、「京都学派四天王」と呼ばれた西谷啓治、高坂正顕、高山岩男、鈴木成高によって真珠湾攻撃の直前、41年11月末に開催された座談会「世界史的立場と日本」を主に取り上げる。師と弟子、講演者と聴衆、加害者と被害者など、京都学派を取り巻く錯綜した関係を描きだす本展で、VRによる登場人物への同一化を通してより没入感のある「歴史の再演」を体験できるだろう。

会期:2021年4月3日〜7月4日
会場:山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA
住所:山口県山口市中園町7-7
電話番号:083-901-2222 
開場時間:10:00〜19:00 
休館日:火(ただし5月4日は開館)、4月22日、5月6日、12日、13日 
料金:無料

デヴィッド・ボウイと京都。「時間~ TIME BOWIE×KYOTO×SUKITA 鋤田正義写真展」(美術館「えき」KYOTO)

 写真家・鋤田正義が過去の時間を整理しふたたび心に刻むため、デヴィッド・ボウイが愛した京都を撮り下ろした作品を展示する「時間~ TIME BOWIE×KYOTO×SUKITA 鋤田正義写真展」が、美術館「えき」KYOTOで開催される。

鋤田正義とデヴィッド・ボウイ © Mark Higashino

 鋤田とボウイの最初の出会いは、1972年のロンドンでのこと。それから写真を通しての両者の交流は、ボウイがこの世を去った2016年まで40数年間に及んだ。なかでも1980年3月29日に、京都で2人が過ごした時間は、いまも強烈に鋤田の心に残っているという。

 本展では、京都で過ごすボウイを撮影した鋤田の作品と、今回のために鋤田が京都で撮り下ろした新作を展示。また関連イベントとしては、4月23日~29日の期間中、京都シネマでドキュメンタリー映画『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』を上映する。

会期:2021年4月3日~5月5日
会場:美術館「えき」KYOTO
住所:京都府 京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町 ジェイアール京都伊勢丹7階隣接
電話番号:075-352-1111(ジェイアール京都伊勢丹・大代表)
開館時間:10:00〜19:30 ※入場は閉館の30分前 
休館日:ジェイアール京都伊勢丹の休業日に準ずる
料金:一般 900円 / 大学・高校生 700円 / 小中学生 500円

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