コロナ禍における孤立と向き合う。アイムヒア プロジェクトが展覧会「同じ月を見た日」を開催

過去にひきこもりの経験を持つ美術家・渡辺篤が主宰を務める「アイムヒア プロジェクト」が、展覧会「同じ月を見た日」を開催。本展では、月をモチーフに、ひきこもりおよびコロナ禍に発生した孤立に取り組むという。会期は2月28日~3月21日。

会場(制作中) (c)Atsushi Watanabe 2021

 自身も過去にひきこもりの経験を持つ美術家・渡辺篤は、近年ひきこもりの当事者と協働するプロジェクトを多数行ってきた。今回その渡辺が主宰を務める「アイムヒア プロジェクト」が、ひきこもりおよびコロナ禍に発生した孤立に取り組む展覧会「同じ月を見た日」を開催する。

 この企画は、2020年4月の緊急事態宣言の夜に始動したもの。コロナ禍の前後も継続的に孤立する人々や、コロナ禍で孤立する人々とともに、月の観察と撮影を続けてきたという。

 昨今世界で重要視されている孤立にまつわる様々な課題。渡辺は、孤立への対応における重要な姿勢は「ここにいない誰かを思うこと」だと考える。本展では「あなたが月を見上げているとき、別の場所でほかの誰かも同じ月を見ている」というイメージから、月をモチーフに選んでいる。

会場外観(制作中) © Atsushi Watanabe 2021
同じ月を見た日/ウェブサイト © Atsushi Watanabe 2020, © Iʼm here project 2020

 国内外から集めた約1,000枚の月の写真を用いた作品や大型インスタレーションをはじめ、遠く離れた場所にいる人々がスマートリモコンのシステムによって会場の明かりを灯す作品など、その場にいない他者を想起する装置としての作品4点を中心に構成。

 またコロナ禍において展示空間が抱える問題についても取り組む。渡辺が使用しているシェアスタジオの壁面を取り去った会場は、開放的で人が密にならない。また会場と隣接する国道16号線の対岸からの鑑賞も想定し、コロナ禍における新たな作品鑑賞方法を提案する。

編集部

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