EXHIBITIONS

ペーター・モーハル

2020.11.06 - 12.12

ペーター・モーハル untitled(brushstrokes painting) 2020

 ノルウェーのアーティスト、ペーター・モーハルのアジア初個展がKOKI ARTSで開催されている。

 モーハルは1979年生まれ。2008年にオスロ国立芸術大学を卒業。現在、オスロ郊外で制作を行っており、ノルウェー国内外で数多くの展示に参加。その活動は、ウォールストリート・インターナショナル・マガジン、Artsy、ABSTRACT magazineなど数多くのメディアで取り上げられている。

 モーハルは、ペインティングの複雑さを、いくつかの策略やツールを使ってアプローチするのは必須だと考え、制作において異なるスタイルやテーマを行き来する。モーハルのすべての作品は絵画についての相互研究だと言え、いくつかのアプローチを通して、絵画を素材として考察している。 

 本展では、形式主義的な「筆跡絵画」シリーズから新作ペインティング8点を発表する。

「筆跡絵画」シリーズは、絵具の筆跡が鋳型によって増やされ、同一の筆跡が複数存在する作品。筆跡はあらかじめ決められた規則的なパターンや構成でキャンバスに配置され、これらの構図は複数の作品で忠実に反復されている。反復はイメージ構築のツールになるだけではなく、同じ構図が再利用されるため、新しいイメージの制作ツールにもなる。

 素材としての絵画の権威を考察する同シリーズは、色彩理論、かたち、空間条件について問うとともに、同一の筆跡の鋳型によって直感と自発性の絵画構造を回避し、動作と動きの基本的要素の境界を広げる。

 またモーハルは、動作の自立した固有性、手の動作そのもののような絵画的信憑性に従来備わっているものが、反復により排除された時に生じる問題を考察。シリーズのテーマが「動作」についてであると同時に、一つひとつの行為は制御されている。筆がキャンバスにふれるとどうなるかという、予測不可能な部分が取り除かれている。

 今回の新作では、モーハルはテンペラ・グラッサという絵具を使用し、色にバリエーションを付加。テンペラ・グラッサという制御が比較的難しい絵具によって絵画的欠点を可能とし、鑑賞者に議論の余地を与える。