3月21日の開館を予定しながら、新型コロナウイルスの影響で開館延期を続けてきた京都市京セラ美術館。その扉が5月26日、ついに開かれた。
同館は、京都市美術館を大規模改修したもので、既存の本館に加え、現代美術などを中心に展示する新館「東山キューブ」を備えた大規模施設。こけら落としとして、「コレクションルーム(春期)」(5月26日〜21年3月14日)、「杉本博司 瑠璃の浄土」(5月26日〜10月4日)などが開催されている。
京都市京セラ美術館では、開館に当たって6月7日までは事前予約制を導入。展覧会30分ごとに50人という定員を設定した。観覧時間も1時間以内と限られており、来館も京都府民限定だ。初回となった5月26日10時の枠は満員となり、コレクション展で350人、杉本博司展で450人の予約があったという。
この日は、予約をした来館者らが開館前の9時半頃からエントランス前の広場で待機。列ができるも距離は保たれており、10時の開館にあわせて混乱なくスムーズに入場が始まった。
来館者にはマスク着用が義務付けられており、入口ではサーモグラフィによる検温も行われる。
いっぽう展示室内は、予約制が功を奏しており、訪れた人々はゆったりと作品を鑑賞。空間的にはかなりの余裕が見られた。
開館にあたり、同館副館長・川口伸太郎は「美術ファンをお待たせして申し訳ないと思うと同時に、開館できることを嬉しく思います。早く収束して、できるだけたくさんの人に鑑賞してもらいたい」とコメント。開館延期が長引いたことを「準備ができているのに開館できなかった。個人的には蛇の生殺しのような気分だった」と振り返った。
川口副館長は、「いまは安全確保が第一。コロナと共存していく心構えで、ニューノーマル時代の美術館の在り方を探っていきたい」としており、当面は予約制にする必要があるとの考えを示す。
ただこの予約制にも課題はある。リニューアル前の京都市美術館では、多い日で1万人超の来館者があり、リニューアルによってこの数字を上回りたいという考えがあった。
しかし、現状の予約制では1日あたり1400人が限界。今後どのような対策を講じていくのか、注目したい。