サントリー美術館がリニューアル・オープン。記念展で「生活のなかの美」と現代美術が共演

新型コロナウイルスの影響で延期となっていたサントリー美術館のリニューアル・オープンが7月22日に決定。リニューアル・オープン記念展Ⅰ「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」も会期を変更し、7月22日〜9月13日に開催される(展示替えあり)。

誰が袖図屛風 六曲一双のうち左隻 江戸時代(17世紀) サントリー美術館蔵

 2019年11月から改修工事を伴う休館に入り、その後新型コロナウイルスの影響でリニューアル・オープンが延期となっていたサントリー美術館が、7月22日に再開する。

 今年はリニューアル・オープンを記念し、収蔵品約3000件のなかから選りすぐりの名品をもとに3つの展覧会を企画。その第1弾として、「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」が開催される。会期は7月22日~9月13日。

国宝 浮線綾螺鈿蒔絵手箱 一合 鎌倉時代(13世紀) サントリー美術館蔵

 本展では、同館の基本理念である「生活のなかの美(Art in Life)」に立ち返り、酒宴で用いられた調度や「ハレ」の場にふさわしい着物や装飾品、化粧道具、異国趣味の意匠を施した品々まで、生活を彩ってきた華やかな優品を紹介。また、山口晃らの協力のもと、現代アートとコレクションをクロスさせた特別展示も行う。

 第1章「装い」では、国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》をはじめ平安から明治時代までの化粧道具を展示するほか、美人画や浮世絵、小袖、打掛などを通して江戸時代のファッションの変遷を紹介する。また女性の装いだけでなく、その時代の多様な工芸技術を集約した鎧や兜にも焦点を当てる。

朱漆塗矢筈札紺糸素懸威具足 一具 桃山時代(16~17世紀) サントリー美術館蔵
切子 三ツ組盃・盃台 一組 江戸時代後期~明治時代初期(19世紀) サントリー美術館蔵

 第2章「祝祭・宴」では、ハレの舞台を彩った屏風、器、漆工作品などの調度や、酒宴を主題とした屏風・掛軸とともに、様々な技法でつくられた酒器を展示する。

 続く第3章「異国趣味」では、同館コレクションの大きな柱である、ポルトガルやスペインとの交流を通じて生まれた「南蛮美術」を紹介。南蛮屏風や初期洋風画の名品とあわせて、山口晃による成田国際空港を描いたシリーズなども見ることができる。また、西洋人の文化を取り入れてつくられた「南蛮漆器」の意匠にもフォーカスする。

重要文化財 泰西王侯騎馬図屛風 四曲一双 桃山時代~江戸時代初期(17世紀初期) サントリー美術館蔵

 なお本展の後には、「日本美術の裏の裏」(9月30日~11月29日)、「美を結ぶ。美をひらく。」(仮称、12月26日〜2021年2月28日)も開催予定。新しくなった展示空間で、サントリー美術館の豊かなコレクションを楽しみたい。

手前左から、野口哲哉《THE MET》《RED MAN 2016》《Avatar 1―現身―》《 FRONTEER》《Un samurai vient》(いずれも個人蔵)
奥は《賀茂競馬図屏風》(サントリー美術館蔵) (C) 木奥惠三
サントリー美術館 リニューアル・オープン記念展Ⅰ「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」出品作品
成田国際空港 南ウィング盛況の圖 (版画) 山口晃 一面 平成30(2018) ミヅマアートギャラリー蔵
(C) YAMAGUCHI Akira, Courtesy of Mizuma Art Gallery

編集部

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