2020.3.27

レオナルド・ダ・ヴィンチ《白貂を抱く貴婦人》を陶板で再現。大塚国際美術館が常設展示へ

古代壁画から現代まで、世界各国の美術館が所蔵する1000余点の西洋名画を、陶板で原寸大に再現し展示する大塚国際美術館。ここに新たにレオナルド・ダ・ヴィンチの名作《白貂を抱く貴婦人》が追加される。

レオナルド・ダ・ヴィンチ 白貂を抱く貴婦人 画像提供=チャルトリスキ美術館(クラクフ国立美術館分館) ※この画像は原画を撮影したものです
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 シンガーソングライター・米津玄師が2018年末の紅白歌合戦でパフォーマンスを披露したことで一躍注目を集めた徳島の大塚国際美術館。同館は、古代壁画から現代絵画まで世界26ヶ国約190の美術館が所蔵する約1000余点の西洋名画を、特殊技術によって陶板で原寸大に再現して展示するという、日本でも稀有な美術館だ。

 美術館では、レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》や《最後の晩餐》をはじめ、フィンセント・ファン・ゴッホの《ヒマワリ》、パブロ・ピカソの《ゲルニカ》など、誰もが知る名画が並ぶ。

左から、《最後の晩餐》(修復前)と《最後の晩餐》(修復後) 画像提供=大塚国際美術館

 このラインナップに、レオナルド・ダ・ヴィンチの《白貂を抱く貴婦人》(1489〜90頃)を陶板で原寸大に再現したものが4月21日より追加される。《白貂を抱く貴婦人》は、レオナルド・ダ・ヴィンチが女性をモデルに描いた4点の肖像画のうち2作目で、ミラノのルドヴ ィーコ・スフォルツァ(通称イル・モーロ)侯に仕えていた時期の作品。 モデルとなったのは、1489年にルドヴィーコの愛妾となったチェチリア・ ガッレラーニだ。

 腕に抱いているのは「純潔と節制」のシンボルといわれる貂。白貂(冬毛のオコジョ)はギリシャ語で「ガレー」であり、「ガッレラーニ」の語呂合わせとなっている。

 同作のオリジナルは、1800年頃にポーランド貴族アダム・イエ ジィ・チャルトリスキ公爵がイタリアで購入。その後、兵器庫だった建物を活用したチャルトリスキ美術館で展示され、2度の大戦など幾多の苦難の歴史をくぐり抜け、2016年からはポーランド国家が所有。現在もチャルトリスキ美術館にて展示されている。

 大塚国際美術館では、すでに10作のレオナルド・ダ・ヴィンチ作品を陶板で再現し展示しており、今回の《白貂を抱く貴婦人》は11点目となる。