2019.8.31

岸田劉生からボルタンスキーまで、今週末に見たい3つの展覧会

9月2日までに終了する展覧会と今週スタートした展覧会のなかから、とくに注目したい3つをピックアップして紹介する。この機会をお見逃しなく。

「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」展示風景より、左が《ぼた山》(2015)、上が《スピリット》(2013)
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誰もが知る名品が勢ぞろい。「没後90年記念 岸田劉生展」(東京ステーションギャラリー

左から岸田劉生《麗子坐像》(1919年8月23日)、《麗子六歳之像》(1919年3月7日)

 日本の近代を代表する画家・岸田劉生(1891〜1929)。その画業を通覧する展覧会「没後90年記念 岸田劉生展」が8月31日、東京ステーションギャラリーで開幕した。

 本展は、激しいタッチと鮮烈な色彩による初期作品、「劉生の首狩り」の異名をとるほどに多数描いた人物画、瑞々しい風景画など、38年の人生における画風の変遷をたどろうとするもの。画面上のサインなどをもとに作品を制作年順に構成し、劉生が独自に切り開いていった作品世界に迫る内容となっている。また、代名詞とも言える「麗子像」の数々も見ることができる。

会期:2019年8月31日〜10月20日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03-3212-2485
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00)※入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし9月16日、23日、10月14日は開館)、9月17日、24日
料金:一般 1100円 / 高校・大学生 900円 / 中学生以下無料
*東京ステーションギャラリーの後、山口県立美術館、名古屋市美術館へ巡回予定。

 

現代美術×文学。「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(国立新美術館

 会場風景より、小林エリカの展示室

 8月28日、東京・六本木の国立新美術館で、現代美術における文学の多様な表れ方を展観するグループ展「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」がスタートした。

 参加作家は、白い衣装を身にまとった人物を定点観測のように撮影する「PORTRAITS」シリーズで知られる写真家・北島敬三、放射能などの目に見えないものや時間、歴史、家族などをモチーフに幅広い制作を手がける小林エリカ、社会政治的事象やセクシャリティの問題を扱う「American Boyfriend」シリーズで知られるミヤギフトシ。そして、既存のイメージやオブジェクトを起点としたインスタレーションで知られる田村友一郎、既成品や木材など幅広い素材に手を加え、事物のなかに複数の見え方が表出する作品を手がける豊嶋康子、沖縄における米軍基地や戦争の問題を掘り下げ、様々な概念の境界を問い直してきた山城知佳子の6名。

会期:2019年8月28日~11月11日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00(8・9月の金土 〜21:00、10・11月の金土 〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火、10月23日(ただし10月22日は開館)
料金:一般 1000円 / 大学生 500円 / 高校生・18歳未満無料 ※11月3日(文化の日)は入場無料

 

フランスを代表するアーティスト、ボルタンスキーの集大成。「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」(国立新美術館

会場風景より、《モニュメント》(1986)と《皺くちゃのモニュメント》(1985)

 歴史や記憶、人間の存在の痕跡をテーマに作品を生み出し続けるクリスチャン・ボルタンスキー。その芸術家としての人生を振り返る、国立新美術館の展覧会「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」が、9月2日に閉幕する。

 会場に並ぶのは、初期の映像作品《咳をする男》(1969)から本展のために制作された新作《幽霊の廊下》(2019)までの47作品。「展覧会全体をひとつの作品のように見てもらいたいです。それは見る人それぞれの人生を映し出す鏡のようなものでもある。哲学的な考察に身を任せていただきたい」と作家本人が語る本展をお見逃しなく。なお国立新美術館の後は10月18日~2020年1月5日にかけ長崎県美術館に巡回する。

会期:2019年6月12日~9月2日
会場:国立新美術館 企画展示室2E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00(6月の金土〜20:00、7・8月の金土〜21:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火
料金:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円 / 中学生以下無料