東京・上野にある東京藝術大学は、その前身である東京美術学校開校に先だって、様々な芸術資料を収集してきた。そこには、東京美術学校および東京藝術大学の歴代在学生・卒業生たちの作品(学生制作品)や、歴代教員の作品、そして、学生の教材として用いられた美術資料が含まれており、その総数は約 3万件にのぼる。
この膨大なコレクションのなかから厳選した作品を紹介するのが 東京藝術大学大学美術館の「藝大コレクション展」だ。
今回のハイライトとなるのが、藝大の近世絵画コレクションである池大雅 《富士十二景図》連作。全12幅からなる同作は、藝大が7幅を、兵庫の滴翠美術館が4幅を所蔵していたが、このたび最後の1幅が発見され、藝大に収蔵されることになった。本展では、この1幅の収蔵を記念した全12幅の特集展示が行われる(第1期のみ)。
また今回は「Collection in Focus」と題し、これまで紹介される機会の少なかった作品・資料を、新しい視点から展示。「イギリスに学んだ画家たち」では原撫松や南薫造、牧野義雄など、イギリスに学んだ画家の作品にスポットを当てる。
「起立工商会社工芸図案」では、1873年のウィーン万国博覧会での成果を受けて、翌年に設立された日本の貿易会社・起立工商会社にフォーカス。同社が世界に送り出した数々の工芸品の図案(総数約2000枚)の中から、厳選して紹介する(第2期のみ)。
さらに「東京美術学校日本画科の風景画」では、画学生の卒業制作から、松岡映丘、小村雪岱、山口蓬春など大家の作品まで、大正から昭和初期の画壇との影響関係を窺わせる、日本画科ゆかりの風景画を紹介する(第2期のみ)。