だまし絵(トロンプ・ルイユ)で広く知られるオランダ人のアーティスト、マウリッツ・コルネリス・エッシャーと、佐藤オオキ率いるデザインオフィス・nendoがコラボレーションした展覧会「Escher × nendo | Between Two Worlds」がオーストラリアのビクトリア国立美術館で12月2日にスタートした。
本展は、オランダのデン・ハーグ市美術館のコレクションからエッシャーの代表作である版画とデッサン150点以上を、nendoがデザインを手がけた展示スペースで紹介。1916年の初期作から69年に完成した遺作まで、エッシャーの全キャリアをカバーし、ユニークな芸術的ビジョンを探求するものだ。
nendoは2002年に佐藤オオキを中心に設立され、東京とミラノを拠点に建築やインテリア、プロダクト、グラフィックと幅広くデザインを手がけてきたデザインオフィス。
nendoは今回、エッシャーの錯視に基づき、異世界の空間を思わせるインスタレーションを展開している。
ビクトリア国立美術館の館長、トニー・エルウッドは、「エッシャーの芸術的な実践は、空間や論理、数学との複雑な戯れによって、多くの世代の建築とデザインに多大な影響を与えてきました。この豊かな遺産は、この美術館がエッシャーとnendoを組み合わせるというアイデアを概念化するきっかけになりました。デザインのレンズから作品を見ることで、芸術を通していかにユニーク感覚と経験を身につけられるか、それを探求する機会を観客に提供できることが楽しみです」とコメント。
佐藤は、「エッシャーの論理的で数学的なアイデアや関心は、nendoの制作プロセスに影響を与え、本展のデザインと新しいコレクションの制作の土台となりました。今回のインスタレーションでは、非常に物理的な方法でエッシャーの世界を体験することができます。鑑賞者はエッシャーの心の中を歩き、見ることができます」と語っている。
本展で、エッシャーとnendoという異色のコラボレーションを楽しみたい。