竹内万里子は1972年東京生まれの批評家。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了後、東京国立近代美術館の客員研究員などを経て、現在、京都造形芸術大学で准教授を務めている。
加えて、国内外の作品集や新聞雑誌に写真批評を寄稿しているほか、数々の写真展をキュレーション。様々な分野で精力的に活動を行ってきた。
今回、東京・新宿のBギャラリーで開催される展覧会「沈黙とイメージ」は、今年5月に刊行された竹内の初となる単著『沈黙とイメージ - 写真をめぐるエッセイ』(赤々舎)をインスタレーションを通じて紹介するもの。
約15年にわたって、国内外で写真批評家として活動するなかで、多くの写真家と交流を持ち、写真と密接に関わってきた竹内。「はたして自分は本当に写真を見たといえるのか」と自問自答を繰り返しながらも「写真を見る」ということと誠実に向き合い、批評家として言葉にしてきた。竹内は、本展を開催するにあたってこう語る。
「見ることと書くことのあいだには、途方もなく広い空間が横たわっている。そのあいだで私は、無闇にもがいては呆然とすることばかりを繰り返してきた。そこで世界の底知れなさをほのめかし、何かをわかった気になろうとする自分を戒めてきたのは、つねに目の前にある写真であり、写真家という存在でもあった。いま、写真を見ることから生まれた小さな言葉たちを、ふたたび見ることへと返す」。
なお会期中には、美術家の新井卓や写真家の鈴木理策とのアーティストトークも実施される。本展とあわせてチェックしたい。