「新素材研究所」は、現代美術家・杉本博司と建築家・榊田倫之が2008 年に共同で設立した建築設計事務所。「旧素材こそもっとも新しい」という理念のもと、古代や中世、近世に用いられた素材や技法を、現代にどう再編して受け継いでいくかという課題に取り組み、MOA美術館(熱海)や小田原文化財団 江之浦測候所(小田原)など数々のプロジェクトを手がけてきた。
カタログから建材を選ぶのではなく、骨董から産業資材まで、独自の視点で見立てた素材を日頃から集め、それらを設計に生かし、空間を生み出す新素材研究所。そのデザインは、素材のよさを最大限に引き出すための伝統的な職人の技術と最新技術とを融合させ、現代的なディテールで仕上げられているのが特徴だ。
本展では、同所の10年にわたる活動を、建築模型・写真、古材や道具、素材等の展示を通して紹介するもの。
会場は、新素材研究所のシグネチャーデザインである敷瓦を使用したデザインとなり、同所が実際に使用している代表的な古材や廃材などの素材を展示し、同所の素材に対するアプローチを体験することができるという。
また、約8件の代表的なプロジェクトを、杉本が自ら撮影した竣工写真と模型を中心に紹介。新素材研究所発足以前の、杉本にとって初の建築作品となった香川県直島の《護王神社》の同素材の竣工模型、小田原文化財団江之浦測候所の模型が、杉本の代表作品である《海景》とともに展示される。