物質的な豊かさと引き換えに人体、環境への問題が生み出される現代社会に、トレンドのスニーカーを再構築したマスクを通して問題提起と注意喚起を促すツィジュン・ウォン。世界初個展「MASKOLOGY(マスコロジー)」が中野のHidari Zingaroで開催される。
ウォンは1982年中国・北京生まれ。幼少期より中国の伝統文化とスニーカーに収集にのめり込み、2008年には仕事を退職し、伝統工芸品の制作を学修。
数年にわたるカスタマイズスニーカーの制作を経て、スニーカーの生産サイクルについて考えを巡らすようになったウォンは、14年当時、大規模な工業化による濃いスモッグが北京の街を覆ったことを知る。
そして頻繁に夜のランニングをしていたウォンは、自身のスニーカーコレクションを使って美しく機能的なマスクを制作することを着想。それには注目を集めることと、スモッグの害を人々に広く認識させ、屋外で遊ぶ若者をはじめ、環境の変化に気づかない人に対して注意喚起すること、ふたつの目的があったという。
これまでにadidas、adidas Originals、Nike、Puma、Reebok、MCM、Kidrobot、CLOTといった企業とコラボレーションし、各スニーカーが持つ美点を最大限に表現してきたウォン。
現代の課題に取り組む新たな技術として作家が提案する「MASKOLOGY」の世界をいち早くチェックしてほしい。