世界を魅了した牧歌的なライフスタイルをふり返る。スウェーデンの国民的画家カール・ラーションの展覧会が開催

家族をモチーフにした温かい作風で知られるスウェーデンの国民的画家カール・ラーションの展覧会が、東京・損保ジャパン日本興亜美術館で開催される。日本では1994年以来24年ぶりの回顧展となる。会期は9月22日~12月24日。

カール・ラーション アザレアの花 1906 ティールスカ・ギャラリー蔵Photo by The Thiel Gallery / Tord Lund ©The ThielGallery/ ThielskaGalleriet, Stockholm

 カール・ラーション(1853〜1919) はストックホルム生まれの画家。印象派やイタリアのフレスコ画、ジャポニスムに刺激を受けながら、独自の線描様式や平面的な彩色を確立した。同時代のスウェーデンの画家のなかでもっとも日本美術に親しんだことでも知られている。

カール・ラーションの画集『わたしの家』(1899刊) カール・ラーション・ゴーデン蔵
 © Carl Larsson-gården

 産業化社会の新しい生活スタイルが模索された19世紀に、カールは昔ながらの伝統が残るダーラナ地方で「リッラ・ヒュットネース」と呼ばれる家を入手。アンティーク家具のペイントや手芸という簡素かつ斬新な方法で、妻カーリンとともに理想の家へ改装していった。その牧歌的な暮らしぶりを発信した画集は、現代のスウェーデンのインテリアに影響を与え、スウェーデン国外でも翻訳出版されている。

リッラ・ヒュットネース(現カール・ラーション・ゴーデン)の食堂
© Carl Larsson-gården

 そんなラーションの、日本では24年ぶりの回顧展となる本展。油彩画、水彩画、リトグラフ、エッチングなどの絵画50点をはじめ、夫妻がデザインした家具や日本美術のコレクション、画家であった妻カーリンのテキスタイルなど約100件を紹介する。

 イケアやポストモダニズムのデザインにも刺激を与えたセルフ・リノベーションの名作を、日本初公開の品々を交えて紹介し、世界を魅了した家族のライフスタイルに迫る本展。現代において生活を送るうえでも、様々な生きるヒントを与えてくれるだろう。

編集部

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