2018.6.10

謎のアーティスティッククルー、
「SOULFUL BROTHERS」が
芸術祭後の会場で「情」を考察。
山本篤の未公開作品20点を展示

あいちトリエンナーレ2013の会場のひとつであった旧豊橋駅前文化ホールを舞台に、アートプロジェクト「あしたの情」が7月7日、8日の2日間にわたり開催される。本プロジェクトは、謎のアーティスティッククルー「SOULFUL BROTHERS」の企画により、美術家の山本篤とコーディネーターの加藤慶の2名が、芸術祭後の会場でこれからの「情」のあり方について考察するというもの。

SOULFUL BROTHERS 《あしたの情》より
前へ
次へ

 神奈川県相模原市で行われた「SUPER OPEN STUDIO」(2015)で即興パフォーマンス「どろどろになりたい」を披露するなど、ゆるやかでミステリアスな活動を続けてきたアーティスティッククルー「SOULFUL BROTHERS」。

 今回SOULFUL BROTHERSが企画する「あしたの情」は、芸術祭後の旧豊橋駅前文化ホールを舞台に、美術家の山本篤とコーディネーターの加藤慶の2名が「情」のあり方を考察するというもの。開発ビル内の旧豊橋駅前文化ホールは、以前から市民にとっての社交場であり、2013年にはあいちトリエンナーレの会場のひとつにも使用されたが、現在は駅前の再整備にむけて取り壊しが決定されている。この約1200平米もの広大なフロア全体に、山本篤の未公開の映像作品20点が展示されるという。

山本篤 猛る灰 2012-18 HD(サイズ可変)

 「あしたの情」という企画タイトルには、前回の開催会場である旧豊橋駅前文化ホールに潜む「市民の日常への想い」や、「いずれ忘却されるかもしれない些細な文化のこれから」を炙り出したいという気持ちがうかがえる。(なお、「あいちトリエンナーレ 2019」のテーマは「情の時代」)

 会期中には、山本篤によるトークイベントも開催。当日は山城大督と山田晋平をゲストに迎え、映像を扱う3名の美術家が会場の作品を巡りながら、架空の人物や出来事をもとにつくられるドキュメンタリー風の表現手法「モキュメンタリー」を軸に、それぞれの作品の取り組み方について語るという。

 ユーモアとわずかな狂いを交えた表現手段で、見落としがちな日常の隙間を暴くSOULFUL BROTHERS。その動向に注目したい。

山本篤 リビングドライブ 2018 HD(サイズ可変)
山本篤 LIFE IS GOOD 2014-18 マルチスクリーン、HD(サイズ可変)