神奈川県相模原市で行われた「SUPER OPEN STUDIO」(2015)で即興パフォーマンス「どろどろになりたい」を披露するなど、ゆるやかでミステリアスな活動を続けてきたアーティスティッククルー「SOULFUL BROTHERS」。
今回SOULFUL BROTHERSが企画する「あしたの情」は、芸術祭後の旧豊橋駅前文化ホールを舞台に、美術家の山本篤とコーディネーターの加藤慶の2名が「情」のあり方を考察するというもの。開発ビル内の旧豊橋駅前文化ホールは、以前から市民にとっての社交場であり、2013年にはあいちトリエンナーレの会場のひとつにも使用されたが、現在は駅前の再整備にむけて取り壊しが決定されている。この約1200平米もの広大なフロア全体に、山本篤の未公開の映像作品20点が展示されるという。
「あしたの情」という企画タイトルには、前回の開催会場である旧豊橋駅前文化ホールに潜む「市民の日常への想い」や、「いずれ忘却されるかもしれない些細な文化のこれから」を炙り出したいという気持ちがうかがえる。(なお、「あいちトリエンナーレ 2019」のテーマは「情の時代」)
会期中には、山本篤によるトークイベントも開催。当日は山城大督と山田晋平をゲストに迎え、映像を扱う3名の美術家が会場の作品を巡りながら、架空の人物や出来事をもとにつくられるドキュメンタリー風の表現手法「モキュメンタリー」を軸に、それぞれの作品の取り組み方について語るという。
ユーモアとわずかな狂いを交えた表現手段で、見落としがちな日常の隙間を暴くSOULFUL BROTHERS。その動向に注目したい。