若くして非凡な才能を発揮し、東京藝術大学在学中より活躍していた中園孔二(1989〜2015)。中園は型にはまらない奔放なイメージを次々に立ち上げる気鋭の画家として、25年という短い生涯を終えた後も、「Japanorama」(ポンピドゥー・センター・メッス、2017)、「第7回モスクワ・ビエンナーレ」(国立トレチャコフ美術館、2017)など、世界的に重要な展覧会への出品が続き、多くの人々にインパクトを与え続けている。
中園の絵画は、クレヨンや油絵具などを用い、ときには指で描いたり、チューブから直接キャンバスに絵具をつけたりしながら生み出されるもの。その作品群は、一人の人物が同時期に手がけているとは思えないほど、鮮烈でバリエーション豊かだ。
あふれる色彩と多種多様な画材で描かれるのは、ユーモラスで不気味な生きものたち。そしてそのキャラクターに託されたのは「外縁の内側にある、まだ見ぬ景色」だ。中園は生前、絵を描くときの動機について「できあがる表面はばらばらに見えますが、すべて自分の見てみたかった景色です」と語っている。
横浜で生まれ育ち、一時期制作も横須賀市内にある倉庫兼アトリエにて行っていたという中園。ゆかりのある横須賀の地で開催される美術館での初個展「外縁ー見てみたかった景色」では、約50点の絵画が展示される。「天才」と呼ばれた画家のまなざしを辿る貴重な機会となるだろう。