いわさきちひろは1918年福井県生まれ、東京育ち。50年に紙芝居『お母さんの話』を出版し、文部大臣賞を受賞。その後も56年に小学館児童文化賞、61年に産経児童出版文化賞を受賞したほか、73年には『ことりのくるひ』(至光社)でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞するなど、国内外で高く評価された。74年に亡くなるまで巧みな線と水彩画の技術を活かした数多くの絵本を残し、現在も幅広く親しまれている。
そんな日本を代表する絵本画家であるいわさきの生誕100年を記念し、東京・練馬のちひろ美術館・東京と長野県の安曇野ちひろ美術館で、いわさきちひろ生誕100年「Life展」が1年を通して開催されている。
本展は「Life」をテーマに、様々な分野の7組の作家といわさきがコラボレート。新しい展覧会のあり方を模索し、いわさきちひろの新たな世界を開くというものだ。ちひろ美術館・東京で展覧会を開催する作家は、大巻伸嗣、spoken words project、長島有里枝。安曇野ちひろ美術館では石内都、トラフ建築設計事務所、谷川俊太郎。そしてplaplaxは同館にて展覧会を行う。
ちひろ美術館・東京では、2018年5月19日から7月22日まで、ファッションブランドspoken words projectとの展覧会「着るをたのしむ」が開催中だ。
spoken words projectはデザイナー・飛田正浩主宰のファッションブランド。飛田は多摩美術大学染色デザイン科在学中からspoken words project名義で様々な表現活動を行い、大学卒業を機にブランドとしてあらため、98年に東京コレクションに初参加。手作業を活かした染めやプリントを施した服づくりに定評があるブランドだ。現在はアーティストのライブ衣装や舞台美術、テキスタイルデザインも手掛けるなど、活動の幅を広げている。
飛田は本展に際し「具体的に1人の作家としていわさきちひろの絵を鑑賞し研究したのは美大受験生のころです。その天真爛漫でありながら的確な水彩のタッチを受験生目線で研究及び実践し、できなさを痛感したのでした。彼女とコラボレーションすることは、その『できなさ』を克服することと考えます。美大受験を経てファッションデザイナーになったいま、『いい女』であった彼女をアートとファッションで表現できることを心より光栄に思います」とコメントしている。
なお、東京ステーションギャラリーでは2018年7月14日〜9月9日に「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」が開催。「Life展」とあわせてチェックしたい。