東京・銀座のギャルリーためながは、1969年に西洋絵画の名匠を扱う画廊として誕生した老舗画廊。開廊した当時は西洋の近代美術があまり認知されておらず、開館10年を迎えた国立西洋美術館が主催する印象派展や、ピカソ等代表作家の展覧会開催により近代西洋美術を鑑賞する土壌がようやく日本に開かれて間もない頃だ。
西洋絵画の名匠作品は限られた美術館で鑑賞するに留まっており、個人コレクターが作品を収集するということが考えられる前の時代。そのようなときに、ギャルリーためながの創業者・爲永清司が銀座に画廊を開く。
当時、フランスでは政府の厳格な芸術保護政策のもと、作品をフランス国外に持ち出すこと自体が困難だったが、爲永が50年代の渡仏以降育んだフランスでの交友関係により名品が来日を果たす。とくに、爲永は当時日本では無名であったエコール・ド・パリの作家の作品に着目しており、爲永はパリで藤田とも親しく交流。頻繁に藤田のアトリエに招かれていたという。
そのように藤田とゆかりのあるギャルリーためながで、藤田の個展が開催される。本展では、油彩及び線描の際立つデッサンなど約40点が展示。
藤田は2018年に没後50年を迎え、東京とパリで相次ぎ展覧会が開催されている。いっぽう、ギャルリーためながは来年開廊50周年を迎える。この節目の年に、藤田ゆかりのギャラリーでその作品を楽しみたい。