石川真生が沖縄の歴史を壮大な写真絵巻で表現。「大琉球写真絵巻」展

沖縄に寄り添い、偽ることなく沖縄を撮影してきた石川真生。本展では、沖縄の400年の歴史を石川が怒りとユーモアを込めて撮影した写真を全四巻、120メートルの写真絵巻にまとめて紹介する。会期は2018年2月10日〜3月4日。

石川真生 「大琉球写真絵巻」より ウミンチュ(漁師)が魚をいっぱい釣って来た。(琉球國時代)

 米軍治下の沖縄に生まれ、基地近くの外国人バーで働く女性たちや米兵の姿を撮影するなど、約40年間にわたって沖縄を撮り続けてきた石川真生。沖縄に住む人々に寄り添い、沖縄の素顔を撮影した写真は国内外で高い評価を受けている。

 薩摩藩の琉球侵攻から沖縄戦、新米軍基地建設問題まで400年にまで及ぶ、沖縄の苦難の歴史を学んだ石川は、歴史上の場面を再現し創作写真として撮影するという手法で、全4巻、長さ120メートルの壮大な「大琉球写真絵巻」を制作。沖縄の人たちの不屈の魂と抵抗の歴史を表現した。「大琉球写真絵巻」にはストレートな怒りや風刺の効いたユーモアもあり、石川の様々な視点が盛り込まれている。本展では1巻から4巻まで「大琉球写真絵巻」の全巻が東京で初めて公開される。

石川真生 「大琉球写真絵巻」より
1899年に日本軍の機密を保護するために「軍機保護法」が制定された。1937年に全面改定が行われ最高刑に「死刑」が加わった。1945年の沖縄戦末期、米軍に投降する住民や避難民を日本兵が「スパイ」と見なし殺害する事件が相次いだ。軍の内部文書では、沖縄語を話す人や米軍のビラを拾った人まで「処刑」することを認めていた。しかし、ほとんどの住民が正当な理由もなく口封じに殺された。飢えに苦しんだ日本兵が食料強奪のために部落を襲った例もある。

 2月10日には石川が原爆の図 丸木美術館にてオープニングトークを開催。「大琉球写真絵巻」と加えて、沖縄の歴史を知ることができる機会となるだろう。

編集部

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