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BLUMの30周年。ティム・ブラムが振り返る日本での軌跡と、次なるステージ【4/4ページ】

新たな時代の幕開け

──ギャラリーの今後についてお聞かせください。BLUMは設立30周年を迎えますが、次のステージでの優先事項やビジョンはなんでしょうか?

 今後は、より地域に根ざし、社会に還元する取り組みを強化していくことが重要だと考えています。コミュニティを基盤としたイベントやパフォーマンス、出版物や書籍の制作をさらに拡充していく予定で、様々な社会的課題に関連する取り組みにも力を入れていきます。また、アートと癒しの関係を意識的に広めていく計画です。たんに展覧会を開いて作品を販売するだけでなく、アートが提供できる癒しの役割を重視し、反省と成長の場としてのアートの可能性を追求します。困難な課題に直面することもありますが、こうした意識を高めていくことが非常に大切だと考えています。

──BLUMは今年、ニューヨークのトライベッカに新たな大規模スペースをオープンされます。その背景について教えてください。

 最初から計画していたわけではなく、偶然このスペースが利用可能になり、これは素晴らしいチャンスだと直感し、即座に決断しました。この新しいスペースに非常に期待しています。ニューヨークではあまり見かけない独特の雰囲気を持つ、非常に美しい空間になると思います。デザインには、古いニューヨーク、日本、北カリフォルニアの要素が組み合わさり、まるで興味深い交差点のようなスペースができあがりました。このスペースは1階と2階からなり、かなり広大な展示エリアを提供できるようになります。

BLUMの新しいニューヨークギャラリーの外観
Courtesy of BLUM Los Angeles, Tokyo, New York

──トライベッカ地区も最近ますます活気づいていますね。

 そうですね。トライベッカは急速に成長しており、非常に魅力的なエリアです。すでに素晴らしいギャラリーが数多く存在していますが、さらに多くのギャラリーが移ってきており、非常に良い雰囲気が感じられます。

──この新しいスペースがBLUMのグローバルなミッションにどのように貢献すると思いますか?

 ほかの場所と同様に、この新スペースでも充実したシリーズ展を開催できるようになります。とくに、これまでニューヨークでは十分なプラットフォームを持たなかった私たちのアーティストにとって、しっかりとした場を提供できるのは非常に大きな意味を持っています。

──最後に、この新スペースのこけら落とし展について教えてください。

 今年、ロサンゼルスのギャラリーでキュレーター・美術史家の吉竹美香さんと一緒に企画した、1960年代から現代までの日本美術を紹介する展覧会「Thirty Years: Written with a Splash of Blood」の別バージョンを企画しています。これは新たな時代の幕開けとして、非常に良いスタートになると感じています。15〜20人のアーティストを紹介する予定ですが、少数のアーティストに焦点を当て、彫刻を中心とした非常にシャープな作品を展示する計画です。例えば、柳幸典関根伸夫菅木志雄李禹煥といった作家たちの大作、奈良美智の彫刻と絵画、そして村上隆の作品も展示します。また、若手の西條茜の作品も含まれています。ニューヨークではあまり見られないアーティストたちなので、非常に新鮮な印象を与える展覧会になるでしょう。

「Thirty Years: Written with a Splash of Blood」展(2024、BLUMロサンゼルス)の展示風景より
Courtesy of the artists and BLUM Los Angeles, Tokyo, New York. Photo by Hannah Mjølsnes
「Thirty Years: Written with a Splash of Blood」展(2024、BLUMロサンゼルス)の展示風景より
Courtesy of the artists and BLUM Los Angeles, Tokyo, New York. Photo by Evan Walsh

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