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マネックスグループ代表・松本大はなぜアートプログラム「ART IN THE OFFICE」を続けるのか?

現代アートの分野で活動する新進アーティストを対象に、オフィスを彩る平面作品案を公募するプログラム「ART IN THE OFFICE」。2008年にこのプログラムを立ち上げたマネックスグループ代表の松本大に話を聞いた。

聞き手・文=中島良平

松本大 提供=マネックスグループ

 個人投資家向けのオンライン証券を中心とする金融サービスを展開するマネックスグループ。2008年よりNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/ エイト] の運営協力を得て実施する「ART IN THE OFFICE」は、同グループ本社オフィスプレスルーム壁面に制作する平面作品案を一般公募し、受賞者が実際にオフィスを訪れて現場で制作した作品を約1年間展示するプログラムだ。

 第1回の受賞者は、路上生活者の住居を撮影した写真集『0円ハウス』(リトルモア)などで知られる建築家、文筆家でアーティストの坂口恭平。2012年には、作品案の選考条件のひとつに作家と社員との交流という項目が設けられていることなどから、プログラムの創造性の高さが評価されて「2012年度グッドデザイン賞」を受賞した。2021年度は157の応募作品案から、閉塞感漂うコロナ禍の社会を刺激するエネルギーが感じられる中田有美の作品《Near and Far(IN THE OFFICE)》が選出された。

目的は「場づくり」 

──2008年に「ART IN THE OFFICE」をスタートした経緯をお聞かせください。

 以前からインタビューを受ける機会が多かったので、2008年にオフィスを拡張してプレスルームをつくりました。円筒型の空間中央に円形テーブルを置き、白いギャラリーのような壁のある部屋です。元々の案としては、その壁面にグループ子会社のロゴを入れれば、インタビューを受けている背景で各社のPRになると考えたのですが、曲面なので歪んでしまう。では、そこで何ができるのだろうかと考えました。

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