小さなカプセルのなかで遂げた進化の軌跡
──「小さいものを精巧につくる」というものづくりへのこだわりは、カプセルトイの進化を語るうえで重要な要素になりそうですね。日本でカプセルトイビジネスが開始された1965年から現在にかけて、カプセルトイのブームはどのように推移してきたのでしょうか。
小野尾 最初の大きな波、いわゆる「第一次ブーム」が訪れたのは1983年のことです。1回100円という価格設定で登場した「キン肉マン消しゴム(キンケシ)」が爆発的なヒットを記録。それまで安価なおまけという立ち位置だったものが、子供たちが熱狂的に集める「コレクション文化」へと昇華したのがこの時期です。
その後、1995年頃には1回200円が主流となる「第二次ブーム」が到来。ここで「HGシリーズ ウルトラマン」などのヒット作が登場し、単色だったフィギュアに彩色が施されるようになりました。造形の精度も飛躍的に向上し、大人が鑑賞を楽しむミニチュアフィギュアとしての地位を築きはじめました。
さらに2000年代に入ると、よりアート性の高い試みが始まります。2002年にソニー・クリエイティブプロダクツが開始した「アート・カプセル・トイ・プロジェクト」がその先駆けです。「TIME CAPSULE(タイムカプセル)」というシリーズ名で、クリエイター作品を500円という当時としては異例の高単価で展開。これはキャラクターグッズの枠を超えて、作家の個性をカプセルに封じ込めるという、いまの「クリエイター作品」や「高単価路線」の礎となる試みでした。このプロジェクトはのちに、カプセルトイメーカーのユージン(現タカラトミーアーツ)へと引き継がれます。

この流れの結実とも言えるのが、2012年に「第三次ブーム」を巻き起こした『コップのフチ子』です。漫画家・タナカカツキさんを生みの親とし、元ユージンの古屋大貴さんが立ち上げたキタンクラブによって制作されたこの作品は、SNSでの拡散の影響もあり、30万個で大ヒットと言われる業界で累計2000万個を突破するという異例の記録を打ち立てました。この一件は、従来のキャラクターに依存しない、日常のなかの「小さなアート」として評価され、この成功により、独自の発想や造形で勝負するメーカーやクリエイターが急増しました。
そして2020年頃からは「第四次ブーム」の真っ只中にあります。1回300〜500円が一般的になり、大人の女性をターゲットにした専門店が全国に拡大。現在では精巧なものづくりはもちろん、実用性や独創的なアイデアが盛り込まれ、カプセルという限られた小さな空間のなかで、いまもなお進化を続けているんです。



















