争点① 二重価格は制度として成立するのか──「差別」か「優遇」か
二重価格の是非をめぐっては、「外国人差別ではないか」という批判が先に立ちやすい。だが、独立行政法人国立美術館の理事を務めた経験を持つ文化政策の専門家である太下義之氏は、この点を「制度設計の見せ方」で整理できるとする。例えば「外国人を値上げする」と言うのではなく、「料金を上げるが、日本人は従来通り据え置く(あるいは無料とする)」と位置づければ、制度上の整合性は取りやすいという見方だ。二重価格を「差別」ではなく「国内利用者の優遇」として捉えることで、制度としては理論上成立し得るというのである。
いっぽうで、『日本の博物館はなぜ無料でないのか?―博物館法制定時までの議論を中心に― 』(追手門学院大学心理学部紀要、2016年)の著者であり、博物館制度に詳しい追手門学院大学の瀧端真理子氏は、制度の理念よりも運用の難しさに目を向ける。館ごとに減免制度の運用や証明書確認の扱いが異なる現状では、統一制度を導入しようとすれば、かえってトラブルのもとになりやすい。制度が「正しいかどうか」と「回るかどうか」は別問題であり、後者の壁は想像以上に高いという指摘である。



















