2020.12.30

コロナ禍に揺れた1年。2020年のアートシーンを振り返る

新型コロナウイルスのパンデミックが直撃した2020年のアート界。主要な出来事を振り返る。

休館中の東京国立博物館(3月)
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1月

・1月1日付で森美術館の新館長に片岡真実が就任。「国際的な現代美術館としての立ち位置を維持しつつ、アジア太平洋の現代アートについて積極的に調査研究、展示活動を行う」など5つのビジョンを掲げた。

・1月18日、ブリヂストン美術館が名称新たに「アーティゾン美術館」として開館した。

開館時のアーティゾン美術館

・新型コロナウイルスの影響で、中国の美術館が1月末より相次ぎ休館を発表。新型コロナによる休館ラッシュの先駆けとなった。

・髙島屋が1990年度から行っているタカシマヤ文化基金が30回の節目を迎え、風間サチコ、小泉明郎、contact Gonzoの3組が受賞した。

・東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館の3館が4月1日より常設展(平常展・名品展)の料金を値上げすると発表した。東博は1989(平成元)年の消費税導入以降、段階的に常設展の料金を引き上げており、常設展料金は約30年間で3倍近くになっている

・国際美術館会議(CIMAM)は1月31日、「あいちトリエンナーレ2019」における「表現の不自由展・その後」を含む展示再開について声明を発表。「政治的圧力からトリエンナーレの自治権を回復するため、そして展示再開のために動いたアーティスト、学芸員は称賛に値する」と表明した。

2月

・パリ市内14の美術館のコレクションを管理する公共団体「Paris Musées(パリ・ミュゼ)」が、約15万点の作品画像を「オープン・コンテンツ」として無料で利用可能にすると発表。これによって、セザンヌやクールベ、レンブラントらの作品を高解像度で鑑賞することが可能となった。

・新型コロナウイルスの影響で、3月に予定されていたアジア最大のアートフェア「アート・バーゼル香港2020」の開催中止が発表。開催中止は同フェア史上初めて。また3月18日〜22日に香港で開催予定だったアートフェア「アートセントラル」も開催中止を発表した。

・2021年度の開館を予定している大阪中之島美術館の館長人事が発表。1992年より大阪市立近代美術館建設準備室学芸員を務めてきた菅谷富夫の就任が明らかにされた

・2019年に香港に開館したアートセンター「CHAT(チャット / Centre for Heritage, Arts and Textile)」が、高橋瑞木をエグゼクティブディレクター兼チーフキュレーターに任命することを発表した。高橋は森美術館準備室、水戸芸術館を経て、17年3月末からCHATで共同ディレクターを務めてきた。

・東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館が展示ギャラリーの移転を発表。2022年に東京・丸の内の明治生命館1階に場所を移すことが明らかになった。

・2月26日、新型コロナウイルスの影響で東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、そして九州国立博物館の4館が休館することを発表。また翌日には国立美術館5館も休館を発表し、この頃から日本の美術館が相次いで休館する事態となった。

コロナによる休館中の東京国立近代美術館(4月)

3月

・3月1日、ルーヴル美術館が新型コロナを受けて休館に。従業員の代表者300人による臨時の会合を開催し、休館の決定をした。

・アメリカ有数の科学、芸術、自然史の博物館群・教育研究機関複合体である「スミソニアン博物館」は、約280万点のデジタルコレクション画像やデータが、自由に利用できるようになったと発表。歴史的人物の肖像画から恐竜の骨格の3Dスキャンまで、芸術、科学、歴史などの高解像度画像や研究データを一括してダウンロードできる。

・「建築のノーベル賞」とも言われ、これまでザハ・ハディッド、レム・コールハース、フランク・ゲーリーらが受賞してきたプリツカー賞において、アイルランド出身の女性建築家ユニットであるイボンヌ・ファレルとシェリー・マクナマラが2020年のプリツカー賞を受賞した。アイルランドからの選出も、女性ユニットの選出も同賞史上初。

左から、イボンヌ・ファレルとシェリー・マクナマラ Photo by Alice Clancy. Courtesy of the Pritzker Architecture Prize

・新型コロナの影響がアメリカ美術館界にも及びはじめ、メトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ホイットニー美術館、グッゲンハイム美術館など、ニューヨークを代表する文化施設が3月13日からの休館を発表した。

・アートフェア東京を主催するアート東京は、2019年のアート産業規模を発表。推計は3590億円で、うち美術品市場は昨年比4.9パーセント増の2580億円となった。

・新型コロナの感染拡大を受け、イギリスは、3月20日にスナック財務大臣が雇用を維持する企業に2500ポンド(約34万円)を上限として、給与の最大80パーセントを助成することを発表。またドイツは3月23日に連邦政府が7500億ユーロ(約90兆円)規模の財政出動を決定するなど、先進国では相次いで支援策が打ち出されたが、日本においては3月末時点では具体的な支援策は出されていなかった。

・3月23日、文化庁は不交付としていた「あいちトリエンナーレ2019」への補助金7800万円に関し、6600万円に減額して交付することを決めた。

・「アート・バーゼル香港2020」の開催中止を受けて設立されたアート・バーゼルのオンライン・ビューイング・ルームが3月20日〜25日に一般公開され、235のギャラリーが参加し、世界中から25万以上の訪問者を記録。これがアートフェアのオンライン化の先駆けとなった。

3月に行われたアート・バーゼルのオンライン・ビューイング・ルームより、オオタファインアーツが展示した草間彌生の《LIFE SHINES ON》(2019)

4月

・前東京国立近代美術館企画課長の蔵屋美香が、4月1日付で横浜美術館の新館長に就任した。就任後のインタビューはこちら

・金沢21世紀美術館キュレーターやあいちトリエンナーレ2019のキュレーターを務めた鷲田めるろが、2020年4月1日付で十和田市現代美術館の新館長に就任した。就任にあたってのインタビューはこちら

・「ポップ・ハプニング」と称するパフォーマンスや東京都知事選立候補などで知られる美術家・秋山祐徳太子が、4月3日に老衰のため死去した。享年85。

・生態や環境についての疑問を投げかける作品を手がけてきた詩人でアーティストのロイス・ワインバーガーが4月23日、心臓発作により逝去した。享年72。

・総合ディレクターの中尾浩治が3月31日付で辞任し、参加予定だったアーティストの大半が不参加となることが明らかになった「ひろしまトリエンナーレ2020」が中止となった。同トリエンナーレについては、県が実行委員会とは別に、展示内容のすべてを選定する「アート委員会」を新設する方針を固め、これに抗議するかたちで総合ディレクターが辞任。緊急声明を発表し、強く批判する事態となっていた。

・5月30日〜31日の会期で開催予定だった「六本木アートナイト 2020」が開催中止となった。2020年のアートナイトは、村上隆をメインプログラムアーティストとして起用。「マジカル大冒険 この街で、アートの不思議を探せ!」をテーマに、「ドラえもん」をモチーフにした数々の作品が発表予定だった。

・草間彌生が、オオタファインアーツのウェブサイトを通じ、新型コロナウイルスの感染拡大が続いている全世界に向けてメッセージを発信した。

・アメリカ・ロサンゼルスのゲティ財団が、新型コロナウイルスの影響を受けた地元の非営利の博物館や視覚芸術団体を支援するために1000万ドル(約10億8000万円)の救済基金を創設。またこれ以降、メガギャラリー「ハウザー&ワース」による「新型コロナウイルス連帯対応基金」(COVID-19 Solidarity Response Fund)への寄付、コロナ禍にあるエルムハースト病院救済のための「Pictures For Elmhurst」、ヴォルフガング・ティルマンスらがスタートさせた「2020Solidarity 」など、アート側からの支援の動きが本格化。KAWSやダミアン・ハースト、村上隆といった著名アーティスト個人のチャリティ活動も見られた。

ダミアン・ハースト Butterfly Rainbow

・北京の798芸術区にある私設美術館「木木美術館」(M WOODS)が、任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」でバーチャル美術館をオープン。またロサンゼルスのJ・ポール・ゲティ美術館が、「あつまれ どうぶつの森」内に自分だけの美術館をつくる「Animal Crossing Art Generator(どうぶつの森アートジェネレーター)」を公開するなど、アート界からの参入が相次いだ

木木美術館によるアンディ・ウォーホル展の様子再現

・国際美術館会議(CIMAM)が、新型コロナウイルスが蔓延する状況で美術館がどうのように対応すべきかを示した20の注意事項を公開した。

5月

・動画コンテンツの制作・発表でひとり当たり10万円を支払う東京都のアーティスト支援策「アートにエールを!東京プロジェクト」や、京都市の文化芸術活動緊急奨励金、愛知県の愛知県文化芸術活動応援金の創設など、地方自治体による独自の文化支援策が打ち出された。

・バンクシーが医療従事者を称賛する新作《Game Changer》を公開した。

バンクシー Game Changer

・メトロポリタン美術館が、同館が所蔵する日本の絵集650冊をオンラインで公開。すべてのデータが画像やPDFとして現在もダウンロードできる。

・李禹煥(リー・ウーファン)がSCAI THE BATHHOUSEのウェブサイトで、新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況についてのメッセージを発表。

・グローバルな博物館組織「ICOM」(国際博物館会議)が、新型コロナウイルスが蔓延するなかで再開する美術館・博物館のための基本的な対策を提示。「来館準備」「パブリック・アクセス(来館者の導線)」「パブリック・アクセス(健康対策強化)」「パブリック・アクセス(必要に応じたアクセス制限)」などに関する36の項目を公開した。また、公益財団法人日本博物館協会も「博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を発表。

・ユネスコ(国連教育科学文化機関)は、5月18日の国際博物館の日にあわせ、美術館・博物館における新型コロナの影響調査の結果を発表。世界9万5000のミュージアムのうち13パーセントが再開できない可能性があるとした。

・「国家安全法」に対し、1500人以上の香港の文化・芸術関係者が反対声明を発表。強い懸念を表明した。

・「反芸術」運動に呼応した作品発表や、「天動説」をはじめとする大作絵画シリーズ、そして戦争画の研究でも知られる美術家・菊畑茂久馬が、5月21日、85歳で逝去した。

・2月末から新型コロナウイルスの影響で臨時休館を続けてきた京都国立近代美術館が、5月26日に再開。国立美術館では初の再開となった。また同日、3月21日の開館予定を延期してきた京都市京セラ美術館が開館となった。

京都市京セラ美術館

・《包まれたライヒスターク、ベルリン、1971-95》や《ゲーツ、ニューヨーク市、セントラルパーク、1979-2005》などの大規模作品で知られるクリストが5月31日、84歳で逝去した。

《フローティング・ピアーズ》に立つクリスト(2016年6月) Photo by Wolfgang Volz (C) 2020 Christo

6月

・新型コロナウイルスの影響により4月11日の開館が延期となっていた、青森・弘前市の弘前れんが倉庫美術館館が、6月1日より事前予約制によるプレオープンを開始した。

・2月29日から臨時休館していた東京・上野の国立科学博物館をはじめ、21_21DESIGN SIGHT、東京都庭園美術館などが、6月1日に再開。翌2日には東京国立博物館と東京都現代美術館が一部再開し、東京都写真美術館と江戸東京博物館は全面的に再開を迎えた。

再開時の東京国立博物

・アメリカ・ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官によって殺害された事件。これに端を発した抗議デモに対し、メトロポリタン美術館をはじめとするアメリカのアート界も連帯を示す事態に発展した。またICOMが「博物館はあらゆるレベルで人種的不正や黒人差別とたたかう責任と義務を負っている」との声明を発表。またバンクシーも新作を発表するなど、「Black Lives Matter」はアート界にも大きな影響を及ぼした。

・美術館連絡協議会と読売新聞オンラインが企画したウェブサイト「美術館女子」がSNS上で大きな批判を巻き起こした。批判を受け、6月28日には「美術館女子」のウェブサイトが公開終了した。

公開されていた「美術館女子」ウェブサイトより

・6月21日、アートコレクター・林田堅太郎が私設美術館「KAMU kanazawa」を金沢市内に開館。これ以降、12月までに合計4つの展示スペースをオープンさせている。

KAMU kanazawa 提供=KAMU kanazawa

7月

・新型コロナウイルスの影響を受けて、3月28日より休館してきた東京・上野の東京都美術館が、7月1日に再開した。

・砧公園のなかに位置する世田谷美術館が、あえて空っぽの展示室を来館者に開放する「作品のない展示室」というユニークな試みを行い、注目を集めた。

・西新宿の高層ビル群にあった東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館が、敷地内に移転。新たにSOMPO美術館として7月10日に開館を迎えた。

SOMPO美術館

・1995年に開館し、開館25周年を迎えた千葉市美術館が7月11日、拡張リニューアルオープンした。

・田根剛設計として注目を集める青森県弘前市の弘前れんが倉庫美術館が、7月11日にグランドオープンを迎えた。

弘前れんが倉庫美術館

・有楽町に、一般社団法⼈日本現代美術商協会(CADAN)が初となるリアルスペース「CADAN有楽町」をオープンさせた。

・株式会社ルミネと東日本旅客鉄道株式会社が、新宿東口駅前の美化整備のため、パブリック・アートを中心とした新宿東口駅前広場を7月19日にオープン。松山智一が手がけた大作《花尾》が新たなランドマークとなった。

変貌した新宿駅東口駅前広場 撮影=稲葉真

・新型コロナの影響により、2020年12月からの開催を予定していた札幌国際芸術祭2020が、中止となった。

・株式会社ゲンロンが、合同会社カオスラとの契約を解除。カオスラ代表社員の黒瀬陽平がパワーハラスメントを行っていたことが原因。黒瀬は代表社員から退任した。

8月

・2019年10月に台風21号の通過にともなう豪雨により浸水被害を受け休館が続いていた日本初の写実絵画専門美術館・ホキ美術館が、8月1日に再開した。

ホキ美術館

・アイ・ウェイウェイが、コロナ禍において数ヶ月の封鎖下に置かれた武漢を記録した長編ドキュメンタリー『Coronation』を発表。

・8月4日、レバノンの首都ベイルートで大規模な爆発が発生し、ベイルート市内の多くの美術館、博物館、ギャラリーが大きな被害を受けた。この再建を支援するため、世界各地の美術館や文化機関が連帯を表明。

被害を受けたスルソーク博物館の展示室内の様子 Photo by Marie Nour Hechaime

・フィンセント・ファン・ゴッホが自殺する直前に描いた作品《木の根と幹》のモデルとなった場所が、ヴァン・ゴッホ研究所の科学ディレクターであるバウター・バンデアベーンによって特定された。

フィンセント・ファン・ゴッホが《木の根》を制作した際の、オーヴェール=シュル・オワーズの丘の中腹とゴッホの位置関係を模式的に表したもの (C)arthénon

・文化財、美術、映画、学術資産など、様々な分野のデジタルアーカイブと連携してコンテンツのデータベースを構築し、まとめて検索し活用できるポータルサイト「ジャパンサーチ」の正式版が8月25日にリリースされた。

・京都造形芸術大学が名称を京都芸術大学に変更したことに対し、京都市立芸術大学が名称の使用差し止めを求めた訴訟の判決が8月27日に大阪地方裁判所で下され、京都市立芸術大学の敗訴となった。なお京都市立芸術大学は9月8日、学校法人瓜生山学園に対し「京都芸術大学」の名称の使用の差止めを求め控訴した。

・3月13日より臨時休館していたアメリカのメトロポリタン美術館が、8月29日に再開。再開にあたっては、ファサードにオノ・ヨーコの新作《DREAM TOGETHER》(2020)が掲げられた。

オノ・ヨーコの新作《DREAM TOGETHER》(2020)

9月

・韓国の男性音楽グループ・BTS(防弾少年団)のRM(キムナムジュン)が、絶版されて入手が困難な書籍などの制作を支援するために、韓国の国立現代美術館(MMCA)に1億ウォン(約890万円)を寄付した。

・9月18日、アニメ制作会社スタジオジブリが、これまで制作してきたアニメーション作品の作中カット画像の無料提供を同社ウェブサイトにて開始し、SNSで大きな話題を集めた。

・東京・天王洲の「TERRADA ART COMPLEX」に隣接するかたちでオープンした「TERRADA ART COMPLEXII」を舞台に、新たなアートフェア「artTNZ」が9月18日〜21日の会期で開催された。

「artTNZ」会場となったTERRADA ART COMPLEXⅡのエントランス

・ラグジュアリースキンケアブランド「ラ・プレリー」が、スイス・バーゼルの郊外にある美術館・バイエラー財団と2年間のパートナー契約を結び、オランダ出身の画家ピエト・モンドリアンの4作品の保存修復プロジェクトへの支援を始動させた。

10月

・2019年12月のアート・バーゼル・マイアミ・ビーチ(ABMB)でマウリツィオ・カテランが発表し、物議を醸した作品《Comedian》が、グッゲンハイム美術館によって収蔵された。

アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ2019で展示されていたマウリツィオ・カテラン《Comedian》(2019) Courtesy Art Basel

・コロナ禍によって中止・延期となった演劇公演資料の収集を行ってきた早稲田大学坪内博士記念演劇博物館が、その公開・発信を目的としたオンライン展示「失われた公演―コロナ禍と演劇の記録/記憶」をスタートさせた。

・10月6日に香港で行われた現代美術のイブニングセールにおいて、ポーラ美術館がゲルハルト・リヒターの作品を約30億円で落札。アジアにおける欧米作家作品の最高落札額となった。

ゲルハルト・リヒター Abstraktes Bild (649-2) 1987

・サンフランシスコ市長のロンドン・ブリードが、アーティストを対象とした「ベーシック・インカム」プログラムを発表。21年春から6ヶ月以上、最大130人のアーティストに月1000ドル(約10万5000円)を支給するという計画を明らかにした。

・竹橋から金沢に移転した東京国立近代美術館工芸館が、10月25日に「国立工芸館」として開館した。

国立工芸館

・ヨックモックが美術館「ヨックモックミュージアム」を10月25日、東京・南青山にオープンさせた。ヨックモックグループとして30年以上かけて集めた約500点のピカソのセラミック作品を中心に展示する。

ヨックモックミュージアム外観

・アメリカの「美術館長協会」(AAMD)が、アメリカ、カナダ、メキシコの美術館の50以上の職業を対象にした2019年度の「2020年給与調査」を発表。187館館長の平均年収は31万7500ドル(約3330万円)で、そのうち運営予算が2000万ドル以上の44館では、館長の平均年収は53万2000ドル(約5580万円)という数字となった。

11月

・11月6日、隈研吾が設計を担った「ところざわサクラタウン」がグランドオープン。同敷地内にある「角川武蔵野ミュージアム」も同時にグランドオープンを迎えた。

角川武蔵野ミュージアム

・アート業界における温室効果ガスの削減を目的に、ロンドンを拠点にするギャラリストやアート専門家からなる有志のグループが、非営利団体「Gallery Climate Coalition(ギャラリー気候連合)」を設立した。

スペイン北西部の都市パレンシアにある銀行のファサードを飾っている女性像が、素人の修復家によって修復不可能なほどのダメージを受けた。スペインでは修復失敗が話題になるケースが相次いでいる。

女性像の修復前(左)と修復後の画像 出典=アントニオ・グスマン・カペルのFacebook(https://www.facebook.com/antonio.capelartista/posts/420680346001119)

・前川國男による設計で1981年に竣工し、19年11月に移転する方針が固まっていた宮城県美術館が、現在地で存続することが明らかにされた。

・六本木ヒルズの玄関である「66プラザ」で、村上隆による高さ10メートルの金色に輝く巨大な新作立体作品《お花の親子》(2020)が公開。村上は「私は子供のオーディエンスをたくさん持っているので、どうやったら子供が親と一緒に見にきていろんなことを発見できるかということを考えて作品を制作した」と語っている

《お花の親子》(2020)

・新型コロナウイルスが美術館・博物館セクターに与える影響を明らかにするため、ICOM(国際博物館会議)が第2回の調査報告書を発表。5大陸の美術館・博物館の管理層や職員、短期労働者などから約900件の回答を集めており、新型コロナウイルスによる美術館・博物館の危機の現状を分析している。

・あいちトリエンナーレを前身とする芸術祭の名称が「あいち2022」に決定。芸術監督として森美術館館長・片岡真実が就任した

12月

・イギリスの現代美術雑誌『ArtReview』が毎年発表している、アート界でもっとも影響力のある100組のランキング「Power 100」。2020年版では、反人種差別の運動「Black Lives Matter」(BLM)が1位という異例のランキングとなった。

・12月2日に再開したテートが、約120人のスタッフを解雇することを発表。新型コロナによって悪化した財政危機を乗り越えるためだとしている。

・アルフォンス・ミュシャの代表作である《スラヴ叙事詩》の所有権をめぐり、ミュシャの孫がプラハ市を提訴。プラハ市が敗訴するという結果となった。

・群馬・前橋で江戸時代に創業し、約300年の歴史を持ちながらも2008年に廃業した白井屋旅館が、新たに「SHIROIYA HOTEL」として12月12日に開業。藤本壮介が設計し、多数のアート作品が館内を埋める。

SHIROIYA HOTEL グリーンタワー ©Shinya Kigure

・2019年10月の台風19号によって収蔵庫が浸水し、収蔵品が被災した川崎市市民ミュージアム。その被災から収蔵品レスキューまでの様子を収めたドキュメンタリー映像が公開された。

・新型コロナウイルスの感染拡大を受け、埼玉県立近代美術館が臨時休館。また都立の美術館も一部展示を休止あるいは延期するなどの措置をとった。