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【武蔵野美術大学×高校生②】ものの見方を変えてみる。「デザイン思考」を学ぶ、山﨑和彦のワークショップ

美術・デザインに興味を持つ高校生に、美大とアートシーンやデザインの現場について様々な角度から知ってもらうための、武蔵野美術大学と『美術手帖』の共同企画第2弾。今年4月に開設された造形構想学部クリエイティブイノベーション学科の拠点となる市ヶ谷キャンパスにて、同学科教授の山﨑和彦が、共立女子中学高等学校の生徒たちを対象にワークショップを行った。

文=米津いつか

ワークショップ風景より 撮影=高見知香

 美大予備校では夏期講習が行われる時期でもある8月2日、美術・デザイン教育にも定評のある共立女子中学高等学校の高校生8名、中学生1名の合計9名が、開設間もない武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスでのワークショップに参加した。講師を務めるのは、武蔵野美術大学にこの春に開設された、造形構想学部クリエイティブイノベーション学科教授の山﨑和彦。これまでに社会人向けのワークショップも数多く行っている。

 クリエイティブイノベーション学科の学生は、1〜2年次は小平市・鷹の台にあるキャンパスで造形の基礎をしっかり学び、3〜4年次はこの市ヶ谷キャンパスで過ごすことになる。本ワークショップ2週間前の7月18日、同キャンパス1階に「産学共創店舗」として無印良品との共創スペースであるMUJIcomがオープンし、学生や自治体、企業、地域との連携で生まれたものを店舗で販売するという、実践的な環境が用意されているのが特徴だ。

Part① 前提講義:「リフレーム」とは何か?

山﨑和彦教授 撮影=高見知香

 この日のテーマは「リフレーム=見方を変える」。新しい思考、従来にはない思考を育てるためのワークショップだ。「デザインは楽しく、社会の役に立つものなんです」という山﨑の一言からスタートした。

レクチャーの様子 撮影=高見知香

 はじめに、「リフレーム」についての簡単な講義が行われた。「リフレーム」とは「見方を変えること」。人は一度思い込んでしまうとなかなか発想の転換ができない。例えば目覚まし時計を描く場合、多くの人は、形状は丸か四角、文字盤はアナログなりデジタルなり、だいたい似たように描く。「目覚まし時計とはそういうものだ」という思い込みがあるのだ。しかし、「目を覚ます」という機能が果たせるのなら、針が止まっていて文字盤が動いていてもいいし、時間になったらエアコンが顔に冷たい風を当てるものでもいい。枕が急にジャンプするという発想もできる。見方を変える練習をすることで、いろいろな視点を持つことができるようにするのが、「リフレーミング」なのである。

 これに対し、日常的な観点で状況をとらえるのが、「フレーミング」だ。例えば眼鏡をつくるとき、なるべく軽い眼鏡にするというのが一般的な観点での考え方である。いっぽう「リフレーミング」は、新たな観点で、状況を捉えることだと山﨑は説明する。眼鏡に高いフィット感があれば、実際に多少の重さがあったとしても快適に感じることができる。快適さをどのように定義するかで観点が変わり、新しいデザインを提案することができるのである。

レクチャーを真剣に聞く生徒たち 撮影=高見知香

 また「リフレーミング」には、「意味のリフレーミング」と「状況のリフレーミング」の2つがある。ある状況に対する意味付けを変える「意味のリフレーミング」の例として、電車が遅れたときに残念な気持ちになるのではなく「大事故にあわずに済んでよかった」ととらえることや、使用していないときは壁にアートとして飾れるよう穴が空いている、イタリアの折りたたみテーブルがあげられた。また、意味は変えずに状況を変える「状況のリフレーミング」は、使う状況(=場所)を変えるというもの。いつも遅れる目覚まし時計を「遅れても大丈夫な休日用に使おう」と考える、などという転換だ。

和やかなレクチャーの様子 撮影=高見知香

編集部

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