EXHIBITIONS

河口龍夫「関係―種子・銅」

2022.04.22 - 06.11

河口龍夫 Relation - Seed / Copper 8 1982

 SNOW Contemporaryで、美術家・河口龍夫の個展「関係―種子・銅」が開催されている。

 河口が1982年に発表した、2枚の銅板と銅板のあいだに種子を挟み込んだ「関係―種子」シリーズは、生命エネルギーである種子と一見無関係な金属を関係づけることで成立した作品だ。美術評論家の中原佑介によって「それは河口龍夫の作品における質的な変貌を宣言する出来事だったといって過言ではない。そういう意味で、『関係―種子』が制作された1982年は、この美術家にとってひとつのエポックをなすだろうと思う。」(*)と評されるように、現在は河口の代表的な作品シリーズのひとつとして知られている。

 しかし「関係―種子」シリーズに銅が使用されたのは、1982年に制作された作品のみで、当初は、「種子の持つエネルギーを銅で覆うことによって種子の持つ生命力と気を伝え空間にまで解き放とうとした作品」であったと河口は述べている。チェルノブイリ原発事故以後、伝導性のある銅から、放射線を遮る鉛に素材が変更され、その後、「関係―種子」シリーズは様々に展開・制作されたが、銅が用いられることはなかった。

 本展では、銅によって制作された「関係―種子」シリーズを中心に、生木を銅で覆った彫刻作品「関係―気」(1983〜2021)や、「関係―気」を描いた当時の水彩作品など計14点を展示。「関係―種子」シリーズの原点を鑑賞できる貴重な機会となる。

*──中原佑介「種子・生命エネルギー・芸術」、千葉市美術館展覧会カタログ『関係―河口龍夫』、1987