EXHIBITIONS

猪瀬直哉「The Utopia Chapter 6」

2022.04.28 - 06.11

猪瀬直哉 The Construction, 1534, Edward Clarke 2021 © THE CLUB

 THE CLUBで、猪瀬直哉の個展「The Utopia Chapter 6」が開催される。

 猪瀬は1988年神奈川県生まれ。東京藝術大学油絵科を卒業し、現在はロンドンを拠点に活動。自然界とそこにおける人間の強欲な在り方、それによって生み出される不調和な関係性を探求している。細部まで精巧な風景と抽象的な世界を、油絵の技術によってキャンバスに描き出す。その作品は私たちがどう自然と向き合っているのかを問い、またポストモダニズムにおける名画の役割、そしてそれがどのように変化しているかについて議論していく。作品収蔵先にはベネトンコレクション、桶田コレクション、高橋コレクション、SEGA Sammyコレクションなど。

 本展では、猪瀬がつくり出す架空の世界に存在する「ルーメン美術館」に所蔵される、ユートピアに関する数々の作品や歴史に迫る。
 
 14世紀から21世紀に至るまで長らく画家のモチーフとなってきたユートピア。各時代の西洋絵画史を象徴するような、様々な絵画様式で描かれた猪瀬の作品からは、その謎多きユートピアの発展を垣間見ることができる。作家は次のように述べている。

「架空とされる事物をこれまで何世紀にもわたり、画家は描いてきました。このような寓話に見られる人間の傲慢性を1からフィクションで創作してみたいと思ったことがきっかけでこのシリーズができました。こういったアプローチは、映画ではよく見受けられます。擬似ドキュメンタリー的な側面の強い表現方法を元にし、人々が彼らにとって都合の良い建造物を作り、自然が耐えられなくなって見捨てられてしまう。長い時代を通してまた、違う視点を持ってネガティブに、またはポジティブに描かれた作品群をご鑑賞いただきたいです(猪瀬直哉)」。