EXHIBITIONS

興梠優護「Turbidity」

2022.04.06 - 04.24

興梠優護 |122 2022

 Yoshimi Artsは、アーティスト・興梠優護(こうろぎ・ゆうご)の個展「Turbidity」を開催する。

 興梠は1982年熊本県生まれ。2007年に東京藝術⼤学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、09年に同⼤学⼤学院美術研究科絵画専攻版画研究領域を修了。熊本、東京、ロンドン、ベルリンなどアトリエを移動し制作を行ってきた。

 本展では、興梠による「|」シリーズを中心に展示。「|」シリーズとは興梠の基本となるシリーズで、「|」とは「⼤文字の I=自分自身」「数字の 1」「バーティカルバーの記号表記」といった複合的な意味合いを含み、構図としては「背景」と「図像」の二項対立の関係になる。

 図像には人体が登場するが、図像をきっかけとした背景との関係性において「光や色彩の姿」を表現していると言え、そして興梠は「|」シリーズから「背景」と「図像」の関係性を変化させ、近年は「/」「\」「≡」といったシリーズへと展開させている。

 加えて興梠は、これまで作品とその外側への関わりを考察してきた。16年の個展「Pond」(Yoshimi Arts)においては、キャンバスの側⾯を正⾯の延⻑線ではない蛍光色を塗り、その色が壁に反射することで物理的に外側への関わり方を示した。

 22年1〜2月に開催された「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」(京都市京セラ美術館)では、株式会社堀場製作所の計測の技術を用いて成分分析を行った数値や画像を、偏光顔料や光沢・マット処理をした絵具で描かれた絵画にプロジェクターで投影し、時間によって変化する作品を発表した。

 興梠は本展でも、これまで構築してきた絵画制作の方法を空間全体に応用し、絵画と同様の効果をギャラリーに表出させる試みを行う。