EXHIBITIONS

生誕100年 特撮美術監督

井上泰幸展

2022.03.19 - 06.19

井上泰幸 アルファ企画にて、1994年 撮影=斎藤純二

怪獣・建造物設定対比図、「モスラ対ゴジラ」(1964)より ©︎ TOHO CO., LTD.

ゴジラ対クモンガ イメージボード、「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」(1967)より © TOHO CO., LTD.

ヘドラ デザイン画、「ゴジラ対ヘドラ」(1971)より © TOHO CO., LTD.

月面基地 イメージボード、「怪獣総進撃」(1968)より © TOHO CO., LTD.

 井上泰幸(1922〜2012)は、日本映像史に重要な位置を占める特殊撮影技術の領域に大きな足跡を残した特撮美術監督。その個展「生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展」が東京都現代美術館で開催される。

 福岡県古賀市に生まれ、第2次世界大戦従軍から負傷して戻り、紆余曲折を経て日本大学芸術学部に籍を置いていた。バウハウスに学んだ山脇巌に師事し、その後、特撮のパイオニア・円谷英二(1901〜1970)のもとで、特撮でのキャリアを本格的にスタートさせた。円谷監督のクリエーションを実装するという劇的な人生を送り、東宝では渡辺明に続く2代目の特撮美術監督として、重要な役割を果たした。

 東宝から独立後は「アルファ企画」を設立。特撮映画のみならず日本映画・テレビ史において重要な作品を数多く手がけ、映像文化を支えた稀有なつくり手のひとりとして、国際的にも知られる作品群を支えた。

 本展は、井上のスケッチ、デザイン画、絵コンテをはじめ、記録写真や資料、撮影で使用したミニチュアやプロップ、当時を再現したミニチュアセットなどの展示を通して、その功績と日本の特撮映像史を俯瞰するもの。遺族をはじめ、特撮研究所やアニメ特撮アーカイブ機構の企画協力を得て、井上とゆかりある関連機関と連携し、庵野秀明(『シン・ゴジラ』)や樋口真嗣(『シン・ウルトラマン』)ら、いま最前線で活躍するクリエーターに多大な影響を与えた井上作品の魅力を探る。