EXHIBITIONS
布施琳太郎「イヴの肉屋」
布施琳太郎の個展「イヴの肉屋」がSNOW Contemporaryで開催される。会期は3月4日~4月16日。
1994年生まれの布施は、急速に発展するメディア環境下に生きる人間の認知や慣習、それによる社会と人の距離やコミュニケーションの在り方など、可視化されないが実存する意識変容や違和感を、同世代のアーティストや詩人、音楽家、デザイナーなどと協働して巧みに顕在化させた作品を数多く発信し、高い評価を受けているアーティストだ。布施は現代を読み解くうえで、先史時代の洞窟壁画や日本語の成立過程など、過去の文化や事象を参照してきた。
本展では、1993年に発表された匿名のオンラインコミュニティにおける実際の性暴力について記した、ジュリアン・ディベルのエッセイ『サイバースペースにおけるレイプ』を参照し、今日のソーシャルメディアにおいてすでに存在する、あるいはメタバースなどの概念を介して予見される身体性やコミュニケーションについて考察する。布施は、このエッセイを参照とした理由を以下のようにまとめている。
「なによりも僕が興味を惹かれたのは、ゴシック小説のような幻想的な描写である。そこでは過剰なまでに物質的なディテールを伴った、しかし回想に基づく描写によって、暴力の過程を伝えることで、インターネットを空間として暗喩化することに成功している。そうした特異な語りのなかでリプレイされる暴力のプロセスは、インターネットが空間へと変質する理由——ネットワークのなかで交通する言語の、空間への変質——が暴力に由来して成り立つ可能性を露わにした(布施琳太郎「制作メモ」より抜粋)」。
コロナ禍において身体的・社会的に隔絶された空間や人間関係に伴い、インターネットの重要性が相対的に増している現代社会において、デジタルネイティブ世代と言われる1994年生まれの布施が、現代社会をどのようにとらえ作品化するのか注目の展示となる。
なおSNOW Contemporaryのウェブサイトでは、布施による制作メモの全文を掲載している。
1994年生まれの布施は、急速に発展するメディア環境下に生きる人間の認知や慣習、それによる社会と人の距離やコミュニケーションの在り方など、可視化されないが実存する意識変容や違和感を、同世代のアーティストや詩人、音楽家、デザイナーなどと協働して巧みに顕在化させた作品を数多く発信し、高い評価を受けているアーティストだ。布施は現代を読み解くうえで、先史時代の洞窟壁画や日本語の成立過程など、過去の文化や事象を参照してきた。
本展では、1993年に発表された匿名のオンラインコミュニティにおける実際の性暴力について記した、ジュリアン・ディベルのエッセイ『サイバースペースにおけるレイプ』を参照し、今日のソーシャルメディアにおいてすでに存在する、あるいはメタバースなどの概念を介して予見される身体性やコミュニケーションについて考察する。布施は、このエッセイを参照とした理由を以下のようにまとめている。
「なによりも僕が興味を惹かれたのは、ゴシック小説のような幻想的な描写である。そこでは過剰なまでに物質的なディテールを伴った、しかし回想に基づく描写によって、暴力の過程を伝えることで、インターネットを空間として暗喩化することに成功している。そうした特異な語りのなかでリプレイされる暴力のプロセスは、インターネットが空間へと変質する理由——ネットワークのなかで交通する言語の、空間への変質——が暴力に由来して成り立つ可能性を露わにした(布施琳太郎「制作メモ」より抜粋)」。
コロナ禍において身体的・社会的に隔絶された空間や人間関係に伴い、インターネットの重要性が相対的に増している現代社会において、デジタルネイティブ世代と言われる1994年生まれの布施が、現代社会をどのようにとらえ作品化するのか注目の展示となる。
なおSNOW Contemporaryのウェブサイトでは、布施による制作メモの全文を掲載している。