EXHIBITIONS

山口勝弘展

『日記』(1945-1955)に見る

山口勝弘 ヴィトリーヌ No.37 1953 神奈川県立近代美術館蔵 © Estate of Katsuhiro Yamaguchi

山口勝弘日記 1945-1955 個人蔵 撮影=齋藤さだむ © Estate of Katsuhiro Yamaguchi

福島秀子 母子 1948 個人蔵 © Kazuo Fukushima

北代省三 シーラカンス 1953/1990 川崎市岡本太郎美術館蔵 © Tokyo Publishing House

構成:山口勝弘、撮影:大辻清司 APNのための構成(1953年5月13日号) 1953 個人蔵 © Estate of Katsuhiro Yamaguchi

 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館では、企画展「山口勝弘展 『日記』(1945-1955)に見る」を開催する。

 戦後美術の新しい局面を切り拓き、日本のメディア・アートの先駆者として知られる山口勝弘(1928〜2018)。戦後まもない1945〜55年までのあいだに18冊の日記を残しており、そこには日々の制作、訪れた展覧会やコンサート、読書、交友関係といった記録が簡明に記されている。これは山口自身の創作や思索を探るうえで重要であるばかりでなく、生前参加したグループ「実験工房」をはじめとする戦後の美術の動きを実証的に検証するうえでも非常に重要なものと言える。

 本展は、近年、調査研究が進んでいるこの日記から見えてくる、山口の思想の原点に迫るもの。アメリカやヨーロッパの芸術動向から山口が吸収したもの、北代省三や福島秀子といった造形作家と、武満徹や鈴木博義ら若手音楽家による「実験工房」の結成、そして「APN(アプン)」や「オートスライド」制作などの活動の経緯を、関連作家の作品・資料とともに紹介する。

 また、山口の初期を代表するシリーズ「ヴィトリーヌ」の誕生と展開をたどり、その多彩な活動の出発点を振り返る。