EXHIBITIONS

第14回恵比寿映像祭「スペクタクル後 AFTER THE SPECTACLE」

ヴィサヤ族、フィリピン村(セントルイス万国博覧会) 1904 個人蔵

空音央&ラウラ・リヴェラーニ アイヌ・ネノアン・アイヌ 2021

佐々木友輔 映画愛の現在 第Ⅰ部/壁の向こうで 2020

アマリア・ウルマン Buyer Walker Rover (Yiwu) Aka. There then 2019
© 2019 Amalia Ulman Courtesy Amalia Ulman and Wuzhen International Contemporary Art Exhibition.

遠藤麻衣子 「オンライン映画(仮題)」より © Maiko Endo 2021

WOW モーション・モダリティ / レイヤー 参考図版

「映画祭を見て、聞いて、語る鑑賞ワークショップ 参考図版
「視覚障害者と作る美術鑑賞ワークショップ」澤田知子展(2021)での開催の様子

 年に一度の映像とアートの国際フェスティバル「恵比寿映像祭」。第14回となる今回は「スペクタクル後」をコンセプトに、19世紀の歴史から現代までのイメージの変容について、幅広く考察する。

 恵比寿映像祭は2009年の初開催以来、恵比寿の地で展示、上映、ライヴ・パフォーマンス、トーク・セッションなどを複合的に行い、映像分野における創造活動の活性化と、映像表現やメディアの発展・継承という課題について広く共有する場となることを目指してきた。

 今回の「スペクタクル後 AFTER THE SPECTACLE」は、ソーシャルメディアにおけるコミュニケーションが可能にした、様々な情報が一大スペクタクルに見える時代のなかで、イメージや視覚表現を「みる/みられる」「とる/とられる」という視点から考えていくことを趣旨としたもの。「歴史」「現代性」「体験」という構成で、複数の展示や上映、イベント、そして未知の作品との出会いを拡げる教育普及プログラム「YEBIZO MEETS」が加わり、恵比寿映像祭ならではの映像体験の可能性を探る。

 メイン会場となる東京都写真美術館では、ゲスト・キュレーターの小原真史(キュレーター、東京工芸大学准教授)による企画展示「スペクタクルの博覧会」を開催。19~20世紀初頭、植民地をはじめとした非西洋諸国の人々を展示する「人間の展示」が行われた時代を省みることで、現代の私たちが持つ欲望の根源をとらえ直す。

 また館内では、また初監督・主演長編映画《エル プラネタ》が日本で公開されたばかりの注目アーティスト、アマリア・ウルマンの作品で、現代のグローバル消費社会全体を描こうとする《Buyer Walker Rover(Yiwu)Aka. There then》や、個人映画作家の佐々木友輔が鳥取を舞台に、地域の人々の映画愛に根差す映画文化の現在形を探るドキュメンタリー作品《映画愛の現在》や、自身の体験をベースに、愛やジェンダー、狂気などのテーマに取り組み、国内外で高い評価を得る映画監督/アーティスト・石原海の新作を含めた過去短編作の上映など、「スペクタクル後」をテーマに選び抜かれた作品を展示。

 出展作家は、平瀬ミキ、ラウラ・リヴェラーニ & 空音央、アマリア・ウルマン、山谷佑、三田村光土里、佐藤朋子、パンタグラフ、ひらのりょう、藤幡正樹、サムソン・ヤン、小田香ら。加えてオンライン映画プロジェクトとして、気鋭の映像作家・遠藤麻衣子による新作を随時配信。「自然(じねん)」に選択した被写体を撮影・編集し、まだ存在しない物語を、ヒトの「心」の在処、視聴者の「心」に着目しながらオンラインを通して実験する試みとなる。

 いっぽうオフサイト展示として、恵比寿ガーデンプレイス センター広場では、公共空間における映像の在り方を模索するクリエイティブ集団・WOWによるプロジェクト《モーション・モダリティ / レイヤー》を展開。刻々と移り変わる夕暮れの雰囲気や雲の状態など、自然現象に似た様相をつくり出す。

 本祭が開催される15日間、恵比寿地域文化施設およびギャラリーなど各所で地域連携プログラムが開催。そして「YEBIZO MEETS」では、オンラインでの実施を含め、ワークショップやイベント、シンポジウムなどによって、人々が映像表現にふれる「開かれた」機会をつくり、本祭で紹介されるジャンル横断的で多彩な作品を理解するための鑑賞の手がかりを提供する。詳細および最新情報は、公式ウェブサイトをチェックしてほしい。