EXHIBITIONS

小林健太 個展「Space-Time Continuum」

西武渋谷店 B館8階=オルタナティブスペース
2022.01.18 - 02.13

小林健太 Untitled 2 2021 © Kenta Cobayashi

小林健太 Untitled 1 2021 © Kenta Cobayashi

小林健太  AR作品(参考図) 2022 © Kenta Cobayashi, © God Scorpion

 小林健太の個展「Space-Time Continuum」が西武渋谷店 B館8階のオルタナティブスペースで開催される。会期は1月18日~2月13日。

 小林は1992年神奈川県生まれ。東京と湘南を拠点に活動している。国内外での個展開催やグループ展参加多数。2019年、マーク・ウェストン率いるダンヒル、2020年春夏コレクションとのコラボレーション、またヴァージル・アブロー率いるルイ・ヴィトン、メンズ秋冬コレクション2019のキャンペーンイメージを手がける。主なコレクションに、サンフランシスコアジア美術館(アメリカ)など。2016年に写真集『Everything_1』、2020年に『Everything_2』がNewfaveより発行された。

 小林は、自ら撮影した都市や日常の風景、ポートレイト写真をデジタル編集によって大きく変容させた写真・映像作品を発表し、テクノロジーとイメージ文化の関係性を追求してきた。近年はファッションブランドとのコラボレーションを通じて写真作品を洋服などの様々な媒体に展開し、2次元の枠を超えて立体へと表現の幅を広げている。

 デジタル特有の鮮やかな色彩構成からなる、イメージの一部を絵画やドローイングにおけるストローク(筆致)のように抽象化し、歪みを加えた小林の作品は、ピクセルの集合体であるデジタル・イメージの物質性、グリッチ感、デジタル特有の美学を露わにするとともに、撮影と画像編集という異なる時間軸における被写体と作家のコミュニケーションの痕跡を提示する。

 近作では小林のシグニチャーともいえるストロークを立体化し、実態空間および3D空間へのアプローチを試行。作家自らの身体性がイメージのなかの社会的記号と交差し、生じるストロークの動的なリズムは、静止したイメージを時間的にも空間的にも拡張させ、ANB Tokyoでの個展「#smudge」(2021)においては会場を劇場に見立て、大型出力だけでなく照明などを利用した空間造作にも取り組んだ。

 活動初期の2014年頃より小林は、ユースカルチャーをはじめとする多様な文化が混ざり合い、開発によって現実的にも変質する渋谷という特異な都市を写真でとらえてきた。小林が操作し紡ぎだすファンタジックでリズミックな渋谷のイメージは、渋谷の実質的な変容だけでなく土地の精神的なものや作家自らが皮膚で感じた感覚的なものを内包した、現代社会の写し鏡ととえることができるだろう。

 本展では渋谷で撮影した複数の夜景のイメージを遊戯的に並置、反復させ相互介入的に再構成することで、容易かつ無限にイメージが量産・拡散される現代においてテクノロジーが孕む可能性と矛盾について考察した新作を発表する。

 また同時期に、西武渋谷店 A館のショーウィンドウでも作品を展示。メディアアーティストのGod ScorpionとコラボレーションしたAR作品、立体作品や写真作品などが公開される(1月18日〜2月14)。