EXHIBITIONS

川瀬巴水 旅と郷愁の風景

2022.01.07 - 02.20

川瀬巴水 木場の夕暮れ(東京十二題) 1920秋

川瀬巴水 芝増上寺(東京二十景) 1925

川瀬巴水 馬込の月(東京十二景) 1930

 大正〜昭和にかけて活躍した川瀬巴水(1883~1957)の回顧展「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」が、大分市美術館に巡回する。

 巴水は、江戸時代に盛行した浮世絵版画の伝統を引き継ぐ「新版画」を牽引したことで知られる版画家。日本全国を旅し、天候、四季や時刻の表情を大切にした郷愁を誘う、かつて日本のどこにでもあった風景を描き続けた。

 巴水の版画制作を支えた版元の渡邊庄三郎は、海外にも通用する木版「美」の構築を目指していた。絵師・彫師・摺師の共同作業による浮世絵の技術をより高度に進化させ、西洋画の技法や色彩を取り入れ、当時としてはモダンな感覚や画家の個性を引き立てた「新版画」を推進した。その背景には、欧米の機械印刷や写真の登場による浮世絵版画の衰退があった。

 本展では、活動の初期から晩年まで、「昭和の広重」とも称された巴水の代表作を展示。まとめて見る機会の少ない連作を中心に構成し、ノスタルジックな日本風景版画の世界を紹介する。