EXHIBITIONS

奇想のモード

装うことへの狂気、またはシュルレアリスム

2022.01.15 - 04.10

マルタン・マルジェラ ネックレス 2006 京都服飾文化研究財団蔵 撮影=京都服飾文化研究財団

エルザ・スキャパレッリ イヴニング・ケープ 1938 京都服飾文化研究財団蔵 撮影=広川泰士

ハリー・ゴードン ポスター・ドレス 1968頃 京都服飾文化研究財団蔵 撮影=畠山崇

ライチョウの足のブローチ、スコットランドWBS (Ward Brothers) 工房 1953 アクセサリーミュージアム蔵

コルセット 1880頃 イギリス 神戸ファッション美術館蔵

マルタン・マルジェラ ドレス 2006 京都服飾文化研究財団蔵 撮影=京都服飾文化研究財団

舘鼻則孝 Heel-less Shoes(Lady Pointe) 2014 個人蔵 撮影=GION

串野真也 LUNG-TSHUP-TA 2009 作家蔵

 東京都庭園美術館が展覧会「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」を開催。シュルレアリスムがモードに与えた影響に焦点を当てつつ、シュルレアリストの感性を持ち合わせたファッション・デザイナーやアーティストたちを紹介する。

 20世紀最大の芸術運動であったシュルレアリスムは芸術の枠を超えて、人々の意識の深層にまで影響力を及ぼした。革新的な意匠を生み出し、時代を先駆けようとする優れたクリエーターたちの表現は、時にシュルレアリスムの理念と重なり合うものであり、モードの世界にもシュルレアリスムに通底するような斬新なアイデアを垣間見ることができる。

 いっぽう、シュルレアリストたちと親交のあったファッション・デザイナーのエルザ・スキャパレッリは、シュルレアリスムの潮流のなかで示された特異な感覚を、モードの世界に積極的に取り込んだ。またシュルレアリストたちは、帽子や靴、手袋といったファッションアイテムを霊感の源として、絵画や写真、オブジェといった作品のなかに生かした。衣装へのトロンプ・ルイユ(だまし絵)的なイラストの導入や、内側と外側の意識を反転させたようなデザインなど、シュルレアリスムを契機として出現したユニークな発想力は、「奇想のモード」として今日にまで影響を与え続けている。

 本展は、シュルレアリスムがモードに与えた影響をひとつの視座としながら、その自由な創造力と発想によって、モードの世界にセンセーションをもたらした美の表現に迫ろうとするもの。スキャパレッリらに加え、さらにシュルレアリスムの感性に通ずるような作品群にも注目し、現代の私たちから見た「奇想」をテーマに、16世紀の歴史的なファッションプレートからコンテンポラリー・アートに至るまでを幅広く展覧する。

 本展には古今東西の作品が集結。モードと宮邸の展示空間が交わることで起きる化学反応も見どころのひとつとなる。主な出展作家・デザイナーは、ヤン・ファーブル、エルザ・スキャパレッリ、マルタン・マルジェラ、ハリー・ゴードン、舘鼻則孝、串野真也ら。