EXHIBITIONS

大垣美穂子「UZU」

2021.11.19 - 12.24

大垣美穂子 UZU #2 2021 © Mihoko Ogaki Courtesy of KEN NAKAHASHI

大垣美穂子 UZU #3 2021 © Mihoko Ogaki Courtesy of KEN NAKAHASHI

大垣美穂子 UZU #5 2021 © Mihoko Ogaki Courtesy of KEN NAKAHASHI

大垣美穂子 #1 untitled 2 2004 © Mihoko Ogaki Courtesy of KEN NAKAHASHI

 KEN NAKAHASHIでは、大垣美穂子の個展「UZU」を開催する。11月19日〜12月24日まで。

 大垣は1973年富山県生まれ。95年に愛知県立芸術大学美術学部美術科油画専攻を卒業後、96年からドイツ国立デュッセルドルフ・クンストアカデミーに留学。2004年に同大学を卒業し、ドイツで活動したのち、2010年に拠点を日本に移して活動している。

 13年、くも膜下出血を発症し、闘病期間を経て病を克服した大垣は、立体、インスタレーション、ドローイング、映像、パフォーマンスなど多岐にわたる表現方法によって、人間の生や死、老いについて、存在が抱える傷を悼むことについて真摯に向き合いながら制作活動を行ってきた。渦のように集合し、朧げなかたちを生み、そして儚く消滅していく大垣が紡ぎ出す小さな点や穴、光の粒は、人類史における苦しみ、悲しみ、痛み、喜び、嫉妬、怒り、愛などの複雑な感情を受け止め、存在の痛みを弔う空間へと鑑賞者を導いていく。

 20年の夏、沖縄を訪れた後、しばらく遠ざかっていた立体の制作を再開させた大垣。戦時中全島で多くの命が失われた歴史のある沖縄で、砂浜に打ち上げられた珊瑚の骨を発見し、その造形や色にふれ、戦争などの犠牲者への追悼の意を込めて、生命力や宇宙との連なりを新たな「UZU」シリーズで表現した。

 本展「UZU」では、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延が長期化するなかで、大垣が制作した新作の立体作品6点を発表する。加えて、ドイツ時代の赤い色鉛筆のドローイングを約17年ぶりに展示。鑑賞者が霊柩車の内部に身を横たえ、死んだ後に見るビジョンとサウンド(誰もが語り得ない領域)を体験する《before the beginning–after the end #2 return to the source》(2003〜2005)と同時期に制作した作品は、今回が日本初公開となる。また展覧会の開催に伴い、12月に新たな作品集『大垣美穂子 works』を刊行予定。