EXHIBITIONS

琉球の横顔 ― 描かれた「私」からの出発

2021.11.03 - 2022.01.16

泉川のはな ソテツ柄のシャツ 2015

喜屋武千恵 白澤 2002

仁添まりな 人魚塚 2018

寺田健人 公園、娘 2020

胡宮ゆきな 平和なんて朝飯前(10XL) 2021

 アジア諸国と交易を行っていた琉球王国時代から、独自の文化を形成してきた沖縄。しかし、日本の一部となった後の1932年、沖縄出身の久志芙沙子の小説『滅びゆく琉球女の手記(原題は「片隅の悲哀」)』が婦人公論に掲載されると、入れ墨文化であるハジチなどの習俗に対する表現をめぐり、同郷の沖縄県学生会から抗議が起こり、未完のままとなった。

 沖縄県立博物館・美術館は、いまから89年前に久志がすくった「弱者への差別や偏見」という問題を21世紀の今日に受け止め、表現の限界に迫る方法論を実践するアーティストを取り上げる企画展「琉球の横顔 ― 描かれた『私』からの出発」を開催。沖縄に生まれ、あるいは沖縄にゆかりのある16人の作家の作品を紹介する。

 出品作家は、池原清子、久場とよ、中島イソ子、西村立子、上原よし、砂川喜代、石垣克子、ローラ・キナ、エミリー・ハナコ・モモハラ、喜屋武千恵、山川さやか、遠藤薫、胡宮ゆきな、泉川のはな、寺田健人、仁添まりな。企画協力は居原田遥。

 本展では、沖縄系ハワイ移民をルーツに持つアメリカの作家や、1977年に発足した沖縄女流美術家協会の作家、沖縄県立芸術大学などで学んだ作家の作品など約50点を展示。沖縄美術の多文化的な側面と可能性を感じ、またアートの新たな展開を見る展覧会。