EXHIBITIONS

伝教大師1200年大遠忌記念 特別展

最澄と天台宗のすべて

聖徳太子及び天台高僧像 十幅のうち 最澄 平安時代・11世紀 兵庫・一乗寺蔵 国宝 展示期間:10月12日~11月7日 画像提供=東京文化財研究所

薬師如来立像 平安時代・11世紀 京都・法界寺蔵 重要文化財

薬師如来坐像 平安時代・12世紀 岐阜・願興寺(蟹薬師)蔵 重要文化財

紺紙金銀交書法華経 八巻のうち巻第七(部分) 平安時代・11世紀 滋賀・延暦寺蔵 重要文化財

延暦寺 根本中堂 内観

延暦寺 根本中堂 外観

 伝教大師最澄の1200年大遠忌を記念した特別展「最澄と天台宗のすべて」が、東京国立博物館 平成館で開催されている。

 伝教大師最澄は、真言宗を開いた弘法大師空海とならんで中国に渡って仏教を学び、新しい平安仏教の一翼を担った名僧。最澄の生涯は、あらゆる人々を救うという『法華経』の説く理想の世界を実現することに捧げられ、この教えをいしずえとする天台宗を日本で広めた。

 最澄が打ち立てた日本天台宗は、釈迦の教えのなかでも、すべてのものに仏になる素質があることを説く『法華経』こそが完全円満な究極の教え(円教、えんぎょう)であるとした、中国・隋時代の天台大師智顗(てんだいだいしちぎ、538~598)の仏教理念のもと成立。そこに最澄が中国で学んだ、密教・禅・大乗戒を加えた「円教・密教・禅・大乗戒」の4つの柱を持つ点が最大の特色だ。天台宗の総本山・延暦寺は多くの高僧を輩出し、門徒が説いた多様な教えは日本文化に大きな影響を及ぼしてきた。

 本展は、比叡山延暦寺の宝物をはじめ、全国各地の天台宗諸寺院等などが守り伝えてきた秘仏や、『法華経』の説く万民救済の精神をあらわす文化財の数々が一挙に集結。延暦寺における日本天台宗の開宗から、東叡山寛永寺を創建し、太平の世を支えた江戸時代に至るまでの天台宗の歴史を紹介する。

 また会場では、比叡山延暦寺の総本堂「根本中堂」堂内の様子を部分的に再現するほか、国宝「聖徳太子及び天台高僧像」十幅すべてを展示。現存最古の最澄の肖像画を含む、インド・中国・日本の天台ゆかりの人物たちを描いた貴重な平安絵画を、全十幅が観覧できるのは東京会場のみとなる(十幅の同時公開は、11月2日〜7日の6日間)※会期中、一部展示替えあり。

 本展は東京に続いて、九州(福岡)、京都、全国3つの国立博物館を巡回し、地域的な特色を示しながら天台宗の広がりを紹介する予定だ。