EXHIBITIONS

小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌

小早川秋聲 愷陣 1930 個人蔵

小早川秋聲 未来 1926 個人蔵

小早川秋聲 長崎へ航く 1931 個人蔵

小早川秋聲 御旗 1934 京都霊山護国神社(日南町美術館寄託)

小早川秋聲 國之楯 1944(1968年改作) 京都霊山護国神社(日南町美術館寄託)

 東京ステーションギャラリーは「小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌」展を開催。初期の歴史画から初公開の戦争画、晩年の仏画まで約100点によって、小早川秋聲(こばやかわ・しゅうせい、1885〜1974)の画業を見渡す初めての大規模回顧展となる。

 大正〜昭和にかけて、京都を中心に活躍した日本画家・小早川秋聲(本名・盈麿[みつまろ])。鳥取の光徳寺住職の長男として生まれた秋聲は、9歳で京都の東本願寺の衆徒として僧籍に入り、その後、画家になることを志すと、日本画家の谷口香嶠(こうきょう)や山元春挙(しゅんきょ)に師事して文展や帝展を中心に入選、画技を磨いた。

 また旅を好んだ秋聲は、北海道、山陰、紀州など日本各地を巡って絵に描いた。国外では複数回の中国渡航に加え、1922〜23年にかけてアジア、インド、エジプトを経てヨーロッパ十数カ国へ遊学。26年には北米大陸を横断し、日本美術の紹介にも努めた。やがて従軍画家として戦地に何度も赴くようになり、戦争画を数多く描いた。そのなかでも見る者に深い印象に残す《國之楯(くにのたて)》(1944)は長く秘匿されるも、戦後の68年に改作・公開され、秋聲の代表作に挙げられる。

 本展は、「はじまり 京都での修業時代」「旅する画家 異文化との出会い」「従軍画家として 《國之楯》へと至る道」「戦後を生きる 静寂の日々」の4章で、初期の歴史画から晩年の仏画までの作品を展示し、画家の歩みを振り返る。