EXHIBITIONS

佐々木健「合流点」

五味家(The Kamakura Project)
2021.07.31 - 11.28, 2021.12.04 - 12.19

佐々木健 相模川 2021

佐々木健 椅子としての自画像 1996-2021

佐々木健 10円玉 2021

 佐々木健の8年ぶりとなる個展「合流点」が、鎌倉市の五味家(The Kamakura Project)で開催されている。

 佐々木は1976年神奈川県鎌倉市生まれ。東京藝術大学大学院壁画科修了。主な活動に「仮説オープンスタジオ」(青山|目黒、2019)、「不純物と免疫」(Bangkok Biennale、ホワイトライン、バンコク、2018/BARRAK、沖縄、2018/TOKAS本郷、2017)、「版画工房の仕事『Footprints』」(カスヤの森現代美術館、2016)などがある。2021年には、祖父母のかつての家を、自身が提案するスペース「五味家(The Kamakura Project)」としてオープン。この場所で必要に応じて展示・会合などを行っていく。

 絵を介して身の回りの事物を凝視する佐々木は、近年は絵画と加害(かいがとかがい)、美学的崇高と大型施設問題などについて考察と取材を行いながら、日々記録を続けてきた。本展「合流点」は、障害を持つ自身の兄に関連して描いてきた過去作を出発点とし、相模原障害者施設殺傷事件というヘイトクライムへの、自らの視点を軸に構成する。

 会場の五味家(The Kamakura Project)は、祖父母が所有していた家屋であり、この企画をきっかけに計画された。本展では、報道や数による情報とは異なり、描き手に固有の身体を伴う「絵画」という記録媒体を通して、自身の家族の歴史と現在を示す。

 出品作は新作11点を含む22点の油彩画、ドローイング、テキスト、資料映像に加え、2階常設展示室では、過去作11点を本展に応じて再構成し展示する。

「神奈川県の障害者施設で殺傷事件発生の一報をタイムラインで見かけたあの日、兄が殺された可能性で目の前が真っ暗になった。徐々に明らかになる情報から施設は同県内の他の入所施設である事がわかったのだが、あの日、兄が殺されなかったのはいくつかの偶然が重なった結果に過ぎないという考えが消えることはないだろう。月日は流れ、繰り返し夏がやってくる。それまでに描いてきたあれこれと、それから描いているあれこれを神奈川県鎌倉市のはずれ、私たち兄弟の祖父母がかつて住んでいた古い民家と、庭と、絵画から成る展覧会というかたちで公開したいと思います(佐々木健)」。