桑田卓郎「TEE BOWL」

　桑田卓郎の個展「TEE BOWL」がKOSAKU KANECHIKAで開催される。会期は7月17日～8月21日。

　桑田は1981年広島県生まれ。2001年に京都嵯峨芸術大学短期大学部を卒業後、02年に陶芸家の財満進氏に師事。07年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了し、現在は岐阜県多治見市に工房を構えて制作している。

　ニューヨーク、ロンドン、ブリュッセルなど世界各地で個展を開催し、鑑賞者を魅了してきた桑田。その陶芸を特徴づけるビビッド、またメタリックな色彩、そして印象深い梅花皮（かいらぎ）や石爆（いしはぜ）といった、陶芸の技術に基づきながらも極めて独特の造形は、陶芸の伝統に深く根ざすとともに批評的感覚を備え、素材との徹底的な対話、そして現代の視点によって新たな地平を開いている。

　桑田の最近の制作は2つに分類できる。1つ目はルーティーンでひたすら同じ作業を繰り返し、まるで工程が身体の一部になり余計な力が抜けた状態になった先に突如現れる、新しい何かを待つこと。2つ目は、失敗を避けずあえて色々と実践することで積極的に発見を求めるという、よりコンセプチュアルな目的をもった試みだ。

　本展では、茶碗から発展した彫刻作品など新作約15点をグループで見せるのではなく、一点一点が内包する制作の過程を味わうことができるように展示する。