EXHIBITIONS

横田大輔 個展「Alluvion」

2021.07.10 - 08.07

横田大輔 Untitled 2021 UV Inkjet Print(StareReap 2.5プリント) 100×80cm

横田大輔 Untitled 2021 UV Inkjet Print(StareReap 2.5プリント) 45×36cm

横田大輔 Untitled 2021 UV Inkjet Print(StareReap 2.5 プリント) 100×80cm

 横田大輔の個展「Alluvion」がRICOH ART GALLERYで開催される。会期は7月10日~8月7日。

 横田は1983年埼玉県生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。2010年に「第2回写真1_WALL 展」グランプリ、16年に国際的な写真賞「Foam Paul Huf Award」を受賞。18年にはテートモダンでのグループ展「SHAPE OF LIGHT」に参加し、さらに「第45回(2019年度)木村伊兵衛写真賞」に選ばれるなど、従来の写真というメディアの在り方を超えて独自に進化し続けてきた表現が、国内外で高い評価を得ている。

 本展では、横田の幅広い表現のひとつ「Color Photographs」と、リコー発のアートプロジェクト「StareReap」が共創した新作を含む作品18点を発表し、新しいメディアによる表現の可能性を提示する。

 これまで横田は、記憶と現在、イメージと現実の関係性をテーマに制作を行ってきた。いっぽうで「写真の物質性」にも着目し、なかでも今回展示される「Color Photographs」は、フィルムに直接光学的、化学的な変化を起こし、様々な色の被膜がよれたり重なり合ったりする状態を撮影している。

 記録する媒体であったはずのフィルムが記録される側に立つ「Color Photographs」は、フィルムの独特のうねりや複雑な色彩の変化によって、見る者にこれまで味わったことのない触感を想起させる。リコーの「StareReap」のプリンティングディレクターと横田は、フィルムが積層した状態や、色と色の重なり具合、微細に存在する素材感の違いを丹念に分析し、このフラットな作品に立体性を与えた。

 ただの形状の再現ではない、「StareReap」とのコラボレーションで新たな変容を遂げた作品について、横田は次のように語っている。

「実際は画像を元にまったく厚みのない平面な状態から形を起こしていく、シミュレーションとして高さを加えていくことに面白さを感じました。それは再現性を追及するものでなく、そこには正解がないのです(横田大輔)」。