EXHIBITIONS

わしゃ、今が花よ 70歳で開花した絵心 丸木スマ展

丸木スマ せみが鳴く 1952 原爆の図丸木美術館蔵

丸木スマ ひまわり 制作年不詳 原爆の図丸木美術館蔵 

丸木スマ 塔 1951 原爆の図丸木美術館蔵  

丸木スマ 簪 1955年  原爆の図丸木美術館蔵

丸木スマ 原爆の図丸木美術館蔵

 70歳を過ぎて初めて絵筆をとった丸木スマ。美術教育とは無縁のその天真爛漫な作品は、画壇に驚きをもたらした。本展「わしゃ、今が花よ 70歳で開花した絵心 丸木スマ展」では、丸木スマの9年間の画業の変遷をたどりながら、その作品世界を紹介する。

 スマは1875(明治8)年広島県生まれ。画家・丸木位里の母であり、家事、育児、仕事と休むことなく働き続けた。《原爆の図》で知られる息子夫妻のそばで、絵を描くことに魅せられたスマは、70歳で初めて絵画を手がけ、「絵を描きはなえてから(はじめてから)、面白うての。こりゃ、まだまだ死なりゃせん思うて。わしゃ、今が花よ」と語った。そんなスマの姿は、いつでも新たに芽吹くことができる人間の可能性と、生きることのすばらしさを人々に伝える。

 本展では、絵を愛し、スマが画家として生きた9年間の作品を年代順に展示。自分でも「おかしかろうがの」と笑い、家族たちを楽しませた初期のスケッチや、80年の人生のなかで感じたことを描き、独特の感覚で表現した作品を、スマの言葉とともに紹介する。