EXHIBITIONS

AKI INOMATA「貨幣の記憶」

2021.04.13 - 05.22

AKI INOMATA「貨幣の記憶」より 2018〜(進行中) ©︎ AKI INOMATA / MAHO KUBOTA GALLERY

AKI INOMATA「貨幣の記憶」より 2018〜(進行中) ©︎ AKI INOMATA / MAHO KUBOTA GALLERY

AKI INOMATA「貨幣の記憶」より 2018〜(進行中) ©︎ AKI INOMATA / MAHO KUBOTA GALLERY

 動物との共働によって作品を制作するアーティスト・AKI INOMATAの個展「貨幣の記憶」が、MAHO KUBOTA GALLERYで開催される。

 INOMATAは1983年東京都生まれ。2008年東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。移民・難民・国籍の交換可能性をテーマに作品を制作。3Dプリンターで出力したプラスチック製の「やど」をヤドカリに渡す「やどかりに『やど』をわたしてみる」シリーズをはじめ、飼犬の毛と作家自身の髪でケープをつくり、互いが着用する《犬の毛を私がまとい、私の髪を犬がまとう》など、動物とともに制作した作品を多く手がける。

 18年にナント市美術館、19年に十和田現代美術館と北九州市美術館で個展を開催。また20〜21年にかけてはニューヨーク近代美術館の「Broken Nature」展などに参加し、国内外で継続して作品を発表している。

 本展のタイトルでもある「貨幣の記憶」は、18年よりINOMATAが取り組んでいるプロジェクト。近代以前には貨幣としても使用された「貝殻」を現代の通貨と結びつけ「貨幣の化石」をつくり出す試みだ。

 本展は、福沢諭吉やエリザベス女王、ジョージ・ワシントンなど、諸国の通貨を象徴する人物のかたちが現れる真珠貝の作品と、それらをめぐる映像と写真の作品で構成され、海のなかをイメージさせるような作品配置がギャラリー内に展開される。

 動物と人間との関係や、生物のあり方の歴史的変容をとらえ直すことで、私たちの世界がもっている「可塑性」を示してくれるのがINOMATAの作品の特徴のひとつ。自然の貝殻と人がつくり出す通貨とが融合され、自然種と一体となった貨幣が新たに現れる、INOMATAの想像世界にふれてほしい。