EXHIBITIONS

クールベと海 展

―フランス近代 自然へのまなざし

ギュスターヴ・クールベ 波 1869 キャンバスに油彩 愛媛県美術館蔵

ギュスターヴ・クールベ 波 1870 キャンバスに油彩 オルレアン美術館蔵 ©︎ 2020 Musée des Beaux-Arts, Orléans

ギュスターヴ・クールベ エトルタ海岸、夕日 1869 キャンバスに油彩 新潟県立近代美術館・万代島美術館蔵

ギュスターヴ・クールベ フランシュ=コンテの谷、オルナン付近 1865頃 キャンバスに油彩 茨城県近代美術館蔵

クロード・モネ アヴァルの門 1886 キャンバスに油彩 島根県立美術館蔵

ウジェーヌ・ブーダン 浜辺にて キャンバスに油彩 個人蔵

 19世紀フランスを代表する写実主義の巨匠ギュスターヴ・クールベ(1819〜1877)。クールベは、現実を理想化して表現するそれまでの絵画を否定し、目の前の世界をあるがままに描くことで、既存の政治や美術制度に敵対的な態度を表明したいっぽうで、故郷フランシュ=コンテ地方の切り立った山や森、そこに息づく動物たち、フランス北部のノルマンディー地方の海など、厳しい自然の姿を繰り返し描いた。

 スイス国境近くの山々に囲まれた小さな町オルナンに生まれたクールベが、初めて海を目にしたのは22歳の時。うねる波、どこまでも続く水平線に圧倒され、とくに1860年代以降、好んでその情景を描き、当時の人々から賛辞を得た。波のみに肉薄したクールベの作品は、それまでの時代に描かれた物語性や感傷性に富む海とも、後世代が描いた海水浴や浜辺での社交の情景を描いた身近な海とも異なる視点で海をとらえている。

 本展はクールベが描いた海をテーマに、風景画家としての側面に焦点を当てる初の試み。とりわけクールベが1860年代以降に集中的に取り組んだ「波」連作を中心に展観し、その海景画の同時代性と特異性に迫る。

 またクールベ以前より表象されてきた畏怖の対象としての海、クロード・モネやウジェーヌ・ブーダンなど同時代の画家たちが海を描いた作品の作品も展示。海へのまなざしが変化した時代に、近代絵画の革新者たちがどのように自然と対峙したかを探る。

 出品作は、国内作品にフランスのオルレアン美術館が所蔵する《波》など作品約60点によって構成。クールベが故郷を描いた風景画や狩猟画も交えて紹介する(会期中展示替えあり)。