EXHIBITIONS

アイノとアルヴァ 二人のアアルト

フィンランド―建築・デザインの神話

2021.03.20 - 06.20

アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルト 1937 Aalto Family Collection, Photo: Eino Mäkinen

アイノ・アアルト ボルゲブリック・シリーズ 1932 Alvar Aalto Foundation

アルヴァ・アアルト 41 アームチェア パイミオ 1932 Photo: Tiina Ekosaari Alvar Aalto Foundation

アイノ・アアルト ヴィラ・フローラ水彩スケッチ 1942 Aalto Family Collection

エイノ・カウリア/アルヴァ・アアルト パイミオのサナトリウム1階天井色彩計画 1930頃 Alvar Aalto Foundation

病室の消音設計された洗面器の解説図/パイミオのサナトリウム 1933 Alvar Aalto Foundation

アアルトハウス庭側立面スケッチ 1935 Alvar Aalto Foundation

アアルトハウス リビングルーム Alvar Aalto Foundation

 互いの才能を認め合い、ともに活動を続けたアアルト夫妻。2人の軌跡をたどる展覧会「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話」が世田谷美術館で開催される。

 アイノ・マルシオ(1894〜1949)が、まだ無名の建築家・アルヴァ・アアルト(1898〜1976)の事務所を訪ねたのは1924年のこと。アイノはそこで働き始め、2人は半年後に結婚。アイノがパートナーになったことで、アルヴァに「暮らしを大切にする」という視点が生まれ、やがて国際的潮流となった合理主義的なモダニズム建築の流れのなかでも、ヒューマニズムと自然主義の共存が特徴として語られる独自の立ち位置を築いた。
 
 アイノとアルヴァのヴィジョンは、実用性や機能性を重視するモダニズムの理論とも重なるものであったが、自国フィンランドの環境特性を踏まえ、自然から感受した要素をモチーフとしたデザインを通じ、2人なりの答えを探求していった。

 アイノは夫・アルヴァと対等な関係でアアルト事務所を牽引し、現在も続くアルテック社の初代アート・ディレクターを務め、自身も建築家・デザイナーとして活躍した。子供たちと日常の生活を愛する母親でもあり、生活に根ざしたその視点こそが、アアルト建築のエッセンスを形成したと言える。アイノは54歳という若さで他界するも、アアルト夫妻が協働した25年間は、かけがえのない創造の時間となった。

 本展では、これまで注目される機会の少なかったアイノの仕事にも着目することで、アアルト建築とデザインの本質と魅力を見つめ直し、新たな価値と創造性を見出そうとするもの。2人が公私にわたるパートナーとして世界的建築家への道を歩み始めた1924年から、アイノが他界する1949年まで、25年間の協働の軌跡を追う。

 なお本展はフィンランドのアルヴァ・アアルト財団と、遺族によるファミリー・コレクションの全面的な協力により実現。家具やプロダクトデザイン、建築模型、そして家族の写真やプライベートなスケッチなどによるファミリー・コレクションは日本初公開となる。

※世田谷美術館は4月25日〜5月31日まで臨時休館。最新情報・来館にあたっての注意事項は公式ウェブサイトへ。