EXHIBITIONS

BEUYS POSTERS 2021

2021.01.19 - 02.14

メインビジュアル

展示風景より

展示風景より

展示風景より

展示風景より

 戦後ドイツを代表する芸術家のひとり、ヨーゼフ・ボイスの展覧会が東京・渋谷のSAIで開催中。ボイスの思想と作品を概観できるポスター群が一堂に展示されている。

 社会のなかに機能する芸術の概念「社会彫刻」を提唱し、人間は誰もが芸術家であると主張したボイス。それまでの「美術」の枠組みを超えるものを追求し、社会についての自らの思想や主張を多様な作品を通じて発信したボイスにとって、ポスターはたんなる告知や作品の副産物であることを超えて、ひとつの作品として重要な媒体だった。

 ポスターの制作は人と人との共同作業によって成り立つ。ポスター制作そのものが、伝統的な芸術観を打ち破る象徴的な行為であり、ボイスはその過程でデザインや文字組などの細かい指示は行わず、ほとんどすべての工程を任せていたことがわかっている。

 ボイスが残したポスターは約290種類。自身の政治的ステイトメントや問題提起を発信し、大衆の社会参画を促す大きな力をもつもので、これらのポスターにしばしば現れるボイス自身の顔や姿は、見る者に強烈な印象を残し、芸術家のカリスマ的イメージの形成につながった。

 本展では、清里現代美術館(2014年閉館)の伊藤修吾・伊藤信吾が収集した、ボイス関連の膨大なポスターおよび書籍のコレクションを展示。また、ボイスが教鞭を執ったデュッセルドルフ芸術アカデミーを通じて交流のあった作家、ブリンキー・パレルモとゲルハルト・リヒター、そして国際的パフォーマンス集団「フルクサス」で活動をともにしたジョン・ケージの作品も合わせて紹介する。